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【主張】グリーン水素 再エネ使った製造技術の開発を
水素は、酸素と化合して水になるとき電気を発生するが、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を一切排出しないため、環境に優しい新たなエネルギー源として注目されている。
ただ、現在、世界で流通している水素の大半は、石油や天然ガスなどの化石燃料から製造されており、その過程でCO2が排出されているという問題がある。そのため、水素を製造する段階でも、CO2を出さないようにしなければならない。
太陽光など再生可能エネルギー(再エネ)で発生させた電力を使って、水を電気分解し、水素を生み出せばCO2は出ない。こうして造られた水素は「グリーン水素」と呼ばれ、その普及が脱炭素社会を実現するための鍵となる。公明党は、再エネから水素を製造する技術開発の支援を政府に強く求めている。
今、日本でグリーン水素の普及に向けた動きが活発になっていることは重要だ。
福島県浪江町にある「福島水素エネルギー研究フィールド」(FH2R)は、世界最大級のグリーン水素製造拠点だ。施設内の約7万枚の太陽光パネルを用いて、1日当たり、最大で約150世帯の1カ月分の電力使用量に相当する水素を製造できる。
同町は2日、丸紅や日立製作所、パナソニックなどと共に、FH2Rで製造された水素を用いて、町内の家庭や工場などに電力を供給する「水素供給網」づくりを進める協定を結んだ。3年以内に事業化する見通しだ。
ENEOSと千代田化工建設も、グリーン水素の製造設備の共同開発に着手するという。日本での水素の流通価格は、1キロ(11.2立方メートル)当たり約1100円と高額であることも問題となっている。両企業が開発する設備では、電気分解の独自技術を使って、水素価格を1キロ当たり約330円と、現在の3分の1程度に抑えることをめざす。
今や、グリーン水素の普及に、各国が大きな関心を寄せている。
政府は、今後も再エネを活用した水素製造設備などの技術開発を後押しし、グリーン水素の普及に向けた模範となる取り組みを、日本が世界に示していきたい。