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コラム「北斗七星」
イノシシと出くわしたのは数年前。長野市に住んでいた時だ。自宅からバス通りに出てまもなく。歩道脇の墓地から目の前に飛び出してきた。4車線を突っ切り、民家の間に消えた◆来年の干支はいのしし。人を襲ったり農作物を食い荒らすのはやめてほしいが、突進の勢いは見習いたい。それにウリボウ(イノシシの子)は愛らしい。年賀状の主役かもしれない◆「きれいに印刷された年賀状を受け取っても、そこに手書き文字が一つもなかったら、やはりどこか寂しいものです。気軽にひと言だけでいいのです。お互いの幸せを願って文字をつづれば、晴れ晴れと新年を迎えられるでしょう」。かつて本紙でこう述べたのは手紙文化振興協会のむらかみかずこ代表理事。著書『できる大人の“一筆添える”技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)には「人づきあいにおいて大切なのは、手間を省くことではなく、『ひと手間かける』こと」と。一筆あると、その人の声が聞こえてくる気がする◆わが家の年賀状の目標は笑いを届けることだ。身辺の出来事などを川柳や絵で表そうと毎年、頭をひねる。今ある案はイラスト。イノシシにたまげる北斗子の姿だ◆元日に届けるには「25日までに差し出しを」と日本郵便は呼び掛けている。早めに出そう。一筆添えて。(直)