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2018年12月5日

水道事業の基盤強化へ

改正案が参院委で可決 
施設更新、耐震化進める 
党厚労部会長 高木美智代衆院議員に聞く

高木美智代衆院議員

主に各市町村が経営する水道事業の基盤強化をめざす水道法改正案が、4日の参院厚生労働委員会で自民、公明の与党両党などの賛成多数で可決された。与党は今国会中の成立をめざす。同改正案の意義やポイントについて公明党厚労部会の高木美智代部会長(衆院議員)に聞いた。

官民連携の新たな仕組み

○あくまでも「選択肢の一つ」
○議会議決・大臣許可が必要
○料金の枠組みは条例で設定
○業務状況など日常的に監視
○災害対応は事前に取り決め

――なぜ、今改正するのか。

水道は国民の生命を支える重要なライフラインですが、人口減少に伴う水の需要減や施設の老朽化、深刻化する人材不足などの課題に直面しており、将来にわたる事業の維持に向けた対策が急がれています。

また近年、災害が頻発化・激甚化し、熊本地震や大阪府北部地震などで水道管の破損による断水が発生したことを踏まえると、計画的な施設の更新や耐震化も進めなければなりません。

しかし現状は、老朽化した水道管を全て更新するのに単純計算で約130年かかるとされる一方、事業者の中には、施設の維持・修繕の基礎となる施設台帳を作成・保管していないケースも見受けられます。

このため改正案は、国や自治体の責務を明確化するとともに、適切な資産管理や複数の事業者による広域連携、民間のノウハウを活用する官民連携の推進などが盛り込まれています。

――具体的な内容は。

水道事業者に対し、施設台帳の作成・保管を義務付け、計画的に施設を更新する努力義務などを課します。広域連携では、国による基本方針の策定とともに、都道府県の役割を明確化して市町村を超えた調整を行いやすくします。

蛇口やトイレなどの給水装置の工事をする工事事業者の指定制度についても、業者の資質を保つため、5年ごとの更新制とします。

官民連携については、施設の所有権を自治体が有したまま民間が運営する「コンセッション方式」を導入しやすくします。

――改正法成立で水道が全て民間運営になるのか。

改正案は、あくまでも官民連携の選択肢を一つ増やすものであり、導入は各自治体の判断になります。その上で改正案は、自治体の水道事業者としての位置付けを維持したまま、民間運営ができるようにするものです。事業の最終責任は引き続き自治体が負います。

民間が運営しても、自治体の責任変わらず

―― 一部野党が「海外では水道を民営化して、料金高騰や水質悪化を招いた」と指摘しているが。

海外で失敗したとされる事例は、民間に求める水道施設の管理運営レベルや、料金の設定方法が不明確だったために起きたと考えられます。そこで、改正案では公の関与を強化。コンセッション方式導入には、自治体が条例で料金や管理水準などの枠組みを決め、民間業者を選定した上で、議会の議決と厚労相の許可を得なければなりません。

自治体には、民間業者の業務状況や財務状況の日常的なモニタリング(監視)や、災害時の対応を事前に取り決めることも求められます。これらにより、自治体が責任をもって水道事業を適切に運営・継続できるようにします。

公明党は、今後も国と地方のネットワークの力を生かし、全国各地で水道事業が適切に運営されるよう全力を挙げます。

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