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【主張】線状降水帯情報 豪雨時の命守る行動につなげたい
日本列島の大半が梅雨入りした。近年、記録的な豪雨による洪水や土砂崩れで甚大な被害が相次いでおり警戒を強めたい。
気象庁は17日、豪雨災害への警戒を促す「顕著な大雨に関する情報」を新設した。豪雨の要因とされる「線状降水帯」の発生を知らせるものだ。
情報発表の基準は3時間の雨量が100ミリ以上、範囲が500平方キロメートル以上などで、同庁のホームページで発生地域を示し「災害発生の危険度が急激に高まっている」などと呼び掛ける。
線状降水帯は、積乱雲が連続発生して同じ場所に雨を大量に降らせ続ける。
台風の影響を除き、集中豪雨の6割以上が線状降水帯の影響とされる。昨年の九州豪雨や2018年の西日本豪雨でも深刻な被害をもたらす要因となっただけに、情報発表によって災害への危機感を高める意義は大きく、命を守る行動につなげたい。
線状降水帯情報が出るのは、自治体が発表する5段階の防災情報のうち、「危険な場所からの避難」を促す「警戒レベル4」以上に相当する時である。
ただ、線状降水帯を事前に予測する情報ではなく、発生が確認された後に発表される点に留意すべきだ。発表時には既に屋外への避難が難しく、移動がかえって危険になる可能性もある。自宅やマンションの2階以上への「垂直避難」を事前に考えておくことも重要だ。
大雨に関する情報には、既に「記録的短時間大雨情報」「土砂災害警戒情報」「氾濫危険情報」などがあり、区別しづらいとの指摘がある。気象庁は分かりやすい発信に努め、必要に応じて改善を重ねてほしい。
線状降水帯は、いまだ形成・維持のメカニズムについて未解明な点が多いため、現在の技術では十分に予測することが難しい。
国が21年度から取り組む防災・減災・国土強靱化に関する5カ年計画には、線状降水帯の予測精度の向上が盛り込まれた。これは公明党が主張していたもので、気象庁は調査研究をスタートさせている。しっかりと進めてほしい。