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動物との共生社会めざす
6月施行の改正法 公明がリード
杉本さん(右から2人目)と懇談する(左端から)太田昭宏党全国議員団会議議長、高倉、長橋の両都議=10日 党本部
東京都議会公明党は、都議選の重点政策に盛り込まれた「チャレンジ8」の一つに、犬猫を保護できる新たな動物愛護センターの整備を掲げる。今や、家族の一員ともいえるペットの命を守る環境整備を一層、進めるためだ。今月1日には、公明党が一貫してリードした改正動物愛護管理法が一部施行され、ペット販売業者への規制が段階的に強化される。悪質業者の排除につなげる改正法のポイントとともに、都議会公明党の取り組みを紹介する。
悪質業者の排除へ規制
適正な飼育数や状態を明示
1日施行された改正動物愛護管理法のポイントは、生後56日以下の犬猫の販売を禁止した点だ。生後間もない犬猫は、販売までにかかる飼育コストを抑えられる半面、早い段階で親などから引き離されると、かみ癖やほえ癖などの問題行動を引き起こす可能性がある。規制を強化することで、飼い主による飼育放棄の防止もめざす。
同改正法に基づき今月施行された環境省令では、ペットショップなどに対し、飼育方法や飼育数などを具体的に規定【表参照】。適正な飼養とはいえない状態を「毛に排せつ物が固着している」「爪が異常に伸びている」――などと定義したほか、犬猫を収容するケージの大きさを、体長の1.5~3倍以上とするよう定めた。
このほか従業員1人当たりの飼育数は、新規事業者の場合、販売業者で犬20匹、猫30匹まで、繁殖業者で犬15匹、猫25匹までと上限を設けた。2022年6月からは、ペットショップや繁殖業者に、犬猫に飼い主情報などを記録したマイクロチップの装着を義務付ける。
公明党は、動物愛護管理法の改正を重ねて主導してきた。19年の改正では、動物虐待の罰則強化に向けて、動物愛護団体や専門家などと意見交換を重ね、超党派の議員連盟でも議論を主導。動物虐待に対する罰則強化を粘り強く主張した。環境省令で定めた基準についても、関係団体からの声を反映させた。
今回、規制が強化された背景には、一部のペット業者や繁殖業者が、劣悪な環境下で飼育している実態があった。犬猫を身動きが取りにくい狭いケージに入れて飼育したり、高齢になっても繁殖させたりしていた。自治体関係者からは「従来のあいまいな表現が明確になり、対応の方向性が固まる」と評価する声が上がっている。
犬や猫の保護、譲渡活動を行うNPO法人「日本動物生命尊重の会」の金木洋子代表は、「ケージの大きさなどがより具体的に規定され、最低限の大きさが確保されている」と、法改正に理解を示す。一方で、全ての事業者が規定を守っているとは限らないため、「行政による指導の強化や規定の周知徹底が必要」と指摘している。
都議選の重点政策「チャレンジ8」/殺処分ゼロへ保護付き愛護センター提案
都議会公明党が都議選の重点政策の一つ「チャレンジ8」に掲げているのが、殺処分をなくすため、老朽化した動物愛護センターを再整備し、犬猫の保護から譲渡までを担う都民に開かれたセンターの新設だ。「動物を処分するための施設から、生かすための施設に」と訴え、動物を保護するシェルター(避難所)の併設を提案している。
東京都では、都議会公明党の尽力で、動物愛護の取り組みが大幅に前進している。15年には高倉良生都議(都議選予定候補=中野区)を座長とする「動物との共生を進めるプロジェクトチーム」を立ち上げた。また、犬猫の殺処分ゼロへ、都有施設を活用した犬猫の譲渡会や動物愛護をPRするイベント開催などを後押ししてきた。今月2日の都議会本会議でも高倉都議が、動物愛護に関する取り組みについて都の見解をただしている。
今月10日には、座長の高倉都議と長橋けい一都議(同=豊島区)が、東京都新宿区の党本部で公益財団法人動物環境・福祉協会Eva代表理事で女優の杉本彩さんから、改正法に基づいた動物虐待問題への都の迅速な対応を求める要望を受けた。
今後の取り組みについて高倉都議は、「これまで動物との共生をめざす観点から、動物の殺処分ゼロに向けた施策を実現させてきた。国の規制に合わせた都の対応強化も進めていきたい」と話している。