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2021年6月15日

わいせつ教員 復帰防ぐ

児童生徒性暴力防止法が成立 
教育委員会「再免許の不交付」可能に 
公明、子ども守るため対策リード 
与党ワーキングチーム共同座長、公明党文科部会長 浮島智子 衆院議員に聞く

教員がわいせつ行為などを理由に懲戒免職になっても3年で免許が再取得できる現行制度の課題に対応する「教育職員による児童生徒性暴力防止法」(議員立法)が、5月28日の参院本会議で、全会一致で可決・成立した。自民、公明両党の「与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム(WT)」の共同座長として同法を取りまとめた公明党の浮島智子文部科学部会長(衆院議員)に立法化の背景やポイントを聞いた。

政府は法制断念 議員立法で実現

与党ワーキングチーム共同座長、公明党文科部会長 浮島智子 衆院議員

――立法の背景は。

浮島 信頼している教員からの性暴力は、子どもたちに回復しがたい一生涯の傷を負わせてしまう。特に、低学年や障がいのある児童生徒へのわいせつ行為などは、子どもが被害を理解できなかったり、訴えることが難しかったりする場合があり、極めて卑劣な行為だ。

ところが現行制度では、教員がわいせつ行為などで懲戒免職になっても、3年たてば免許が再取得できてしまう。文科省は公明党の要請を受け、免許を失った加害教員に対して無期限に免許を与えないとする教育職員免許法の改正を検討したが、憲法で定める「職業選択の自由」に抵触する可能性があるとして、断念していた。

そこで“今も被害に苦しむ子どもを思えば、議員立法で前に進めていくしかない”――そう決心し、自民党にも働き掛けて与党WTを立ち上げた。被害者や教育関係者、法学などの有識者からのヒアリングを重ね、いずれの関係者とも「加害教員を二度と教壇に立たせてはいけない」との考えで一致。20回以上の会合を経て法案を取りまとめた。

――新法のポイントは。

浮島 幼稚園に通う幼児から18歳未満の学校に在籍する児童生徒を対象に、教職員による「性暴力等の禁止」を明記した。性交やわいせつ行為のほか、衣服の上からでも体に触れたり、下着を撮影したりすることも性暴力と例示している。

再免許の授与については、改善更生の状況などを踏まえ「適当であると認められる場合に限り、再び免許状を授与することができる」とした。これにより、免許を授与する都道府県教育委員会に裁量が与えられ、不交付とすることも可能になる。医師法でも再免許の授与について裁量が認められており、職業選択の自由には抵触しない。

免許取り上げの処分を受けた教員の氏名や処分理由などを登録するデータベースを国が整備することも規定している。在籍していた教育委員会以外での免許の再取得を申請したとしても、過去の処分履歴などを情報共有できる仕組みだ。

――今後について。

浮島 新法は一部を除いて来年の6月までに施行される。施行後、再免許の授与を巡っては、都道府県の各教育委員会に第三者委員会である「免許状再授与審査会」を設けて意見を聴くことになる。審査会のメンバーや判断基準などでばらつきが出ないよう、文科省には丁寧な制度設計を求めていきたい。

子どもたちの健やかな成長と人権を守るため、引き続き対策に取り組んでいく。

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