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【主張】災害警戒区域の学校 避難計画の策定、減災対策急げ
子どもたちが日中の多くを過ごし、災害時には地域の防災拠点にもなる学校の安全対策を早急に強化していかなければならない。
近年の水害や土砂災害の激甚化・頻発化を受け、文部科学省は浸水想定区域と土砂災害警戒区域に立地し、かつ市町村が要配慮者利用施設に位置付ける公立学校(幼稚園や小中高校など)の対策状況を調査。昨年10月時点で、両区域にある学校は全体の3割に当たる1万1175校に上り、そのうち2割程度が避難確保計画を作成しておらず、3割程度が避難訓練を実施していないことが分かった。
いずれも法律で義務付けられており、文科省は今年度中の対応を全国の教育委員会などに要請した。該当する学校は国が示すガイドラインを参考に対応を急ぐべきである。
最初から完璧な避難計画が作れなくても、計画に基づく訓練を重ね、その都度、改善していけばいい。速やかに全校で作成できるよう、自治体が後押ししてもらいたい。
すでに作成済みの学校も、災害時の避難情報が「避難指示」に一本化されたことなど最新状況を反映しているか、再確認する必要があろう。
文科省の調査では、浸水想定区域にある学校のうち、止水板の設置といった建物内への浸水を防ぐ対策や、電気設備を上階に移動するなどの対策を行っていた学校が、いずれも約15%にとどまっていることも明らかとなった。
建物や電気設備を守る対応は、避難所としての活用や学校の早期再開のためにも重要だ。想定される災害に応じ、必要な手だてを進めたい。
文科省は調査結果と併せ、各地の対策をまとめた事例集を公表した。校舎の床を高くして避難経路を確保したり、土砂の流入を防ぐ防護壁を設置した例のほか、敷地内の地下に雨水貯留槽を設けるなど地域を守る取り組みも紹介。さらに、対策を行う際に活用できる国の支援制度も掲載されている。国は各自治体に対して丁寧に周知し、対策の加速を促してほしい。
公明党は国と地方のネットワークで学校の耐震化や老朽化対策、防災教育の充実などを強力に進めてきた。引き続き、命を守る取り組みに全力を挙げていく。