ニュース
【主張】ワクチン接種加速 官民挙げた総力戦で成功させよう
コロナ禍収束の切り札となるワクチンの接種が加速している。官民挙げた総力戦で取り組みを進めたい。
約3600万人いる高齢者への接種は6月1日時点で、少なくとも1回接種した人が570万人を突破した。先行して接種していた医療従事者も合わせると1000万人以上が1回は接種している。
また、高齢者への1日当たりの接種回数は当初、供給量が少なかったことから1日1万回に満たない日もあったが、5月に入って毎週増加。高齢者と医療従事者への接種で、1日60万回を超える日も出てきた。
「1日100万回接種」の実現をめざす政府は1日、企業・団体、大学などでの「職域接種」を21日から始めると発表した。従業員や教職員、学生らが対象で、接種可能な18歳以上なら年齢は問わない。
既に職域接種の準備や検討に入った大手企業もある。診療所を自前で持たない中小企業向けに、会場や医師を確保する民間の受託サービスも動き出している。
職域接種は、2月に公明党が政府に提案しており、自治体の負担軽減と接種の加速化につながる取り組みだ。政府はしっかりと後押しすべきである。
「1日100万回接種」の実現に何より欠かせないのが、ワクチンの打ち手の確保だ。
政府は公明党の要請を受け、医師や看護師に加え、歯科医による接種も特例として認めた。さらに、救急救命士や潜在看護師などの活用を急いでいる。医療人材を総動員しようという政府の意気込みを評価したい。
今月中には、高齢者接種の見通しがついた自治体から順次、広く一般住民への接種が始まる。円滑実施に向けた体制づくりが急務だ。公明党の地方議員も地元自治体が抱える課題の解決に取り組み、接種のさらなる加速化に全力を挙げている。
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、接種者が人口の半分程度になると感染が広がりにくくなる「集団免疫」の効果が出始めるとの見解を示している。
かつてない規模の接種事業だが、何としても成功させよう。