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2021年6月2日

コロナ後遺症 対策動き出す

東京都、都立など8病院に相談窓口 
認知度低く リーフレットで啓発も

新型コロナウイルスに感染し、治療・療養を終えた後も長期間、倦怠感や味覚・嗅覚の異常などの後遺症に苦しむ人がいる。実態把握へ厚生労働省は調査研究を続けているが、原因究明や治療法の確立には至っていない。こうした中、東京都は、都議会公明党の推進により都立・公社病院に「コロナ後遺症相談窓口」を開設し、支援に動き出している。

後遺症相談窓口は、3月30日に都立大塚病院(豊島区)に設置されたのを皮切りに、駒込(文京区)、多摩総合医療センター(府中市)、墨東(墨田区)の各都立病院にも順次開設。都保健医療公社が運営する東部地域(葛飾区)、多摩南部地域(多摩市)、大久保(新宿区)、多摩北部医療センター(東村山市)の各病院にも設けられ、計8カ所で対応している。

新型コロナと診断されてから1、2カ月以上経過しても何らかの症状のある人が利用できる。看護師らが電話で相談に応じ、症状・体調を聞き取った上で、かかりつけ医や居住地近くの医療機関への受診を案内する。かかりつけ医がいない場合や重い症状の場合、都立・公社病院の外来受診にもつなげる。相談は無料で、病院ごとに窓口の電話番号や利用時間帯は異なる。

後遺症の主な症状(337件の相談から分析)

開設から5月14日までの約1カ月半で相談件数は337件に上る。「焦げ臭いにおいがずっとする」「何もしなくても体がぐったりする」など症状はさまざま。1人が複数の症状を訴えるケースもある。最も多いのは嗅覚異常の114件(全体の34%)。倦怠感が89件(同26%)、味覚異常が88件(同26%)と続く。

利用した人から「安心した」の声

電話相談の時間は平均15分程度だが、1時間近くになるケースもある。利用者には「後遺症のつらさが周囲に理解してもらえない。相談を通し、自分以外にも同じような症状の人がいると知って安心した」と話す人もいたという。都病院経営本部サービス推進部の宮川聡史・事業支援課長は「一人で不安や孤独感を感じながら後遺症に悩んでいる人は多い。寄り添う支援を続けたい」と説明する。

都は、後遺症の認知度が低い現状を踏まえ、周知啓発にも取り組む。入院や施設・自宅で療養する人向けに、後遺症の事例や相談窓口を紹介したリーフレットを作成し、5月から配布。6月下旬には一般向けのリーフレットを作成し、情報発信を強化する方針だ。

都議会公明党が訴え実現

都議会公明党は、2月24日の都議会代表質問で、後遺症に苦しむ人の治療に従事してきた医師の声を紹介し、専用の相談窓口設置も含めた対策の必要性を強調。3月9日の予算特別委員会でも強く訴え、都側から3月中に「新たに後遺症相談窓口を設置する」との答弁を引き出していた。

墨田区などでも独自の取り組み

独自支援に取り組む自治体は他にも出始めた。東京都墨田区は3月8日から後遺症相談センターを開設し、保健師4人が電話相談に対応している。

区の調査により、倦怠感や息苦しさなど後遺症の症状ごとに対応可能な医療機関も区内38カ所あることが分かり、そのうち25カ所を区のホームページで公表。センターは、これらの医療機関への受診を案内する。

センターで受けた区民からの相談は4月26日時点で14件。これ以外に相談先に困り、九州や東北地方を含めた区外からの問い合わせも約60件あった。区保健所の西塚至所長は、「寄せられた相談は氷山の一角。自己判断で対応すれば悪化することもあり、早めに相談してほしい」と訴える。

静岡県の富士、静岡、富士宮の3市で運営する共立蒲原総合病院(富士市)は5月13日から後遺症外来を始めた。毎週木曜午後に4人まで診療する。予約制で、地域のかかりつけ医からの紹介が基本だ。

国に先んじた対応評価

ヒラハタクリニック 平畑光一院長

昨年3月からクリニック内に「新型コロナ後遺症外来」を開設し、1800人を超す診察をしてきました。

欧米では、新型コロナの後遺症に多額の予算を投じ、治療を含む対応を進めています。一方、日本は厚労省の研究にとどまり、一般の人はもちろん、医療関係者も認識が十分とは言えません。後遺症に苦しむ人が職場で解雇されたり、医療機関でも相手にされず、追い詰められるケースが相次いでいます。

私は都議会公明党にこうした実情を指摘してきました。都議会公明党が積極的に動いたおかげで、東京都では国に先んじて相談窓口の設置が実現しました。公的機関による対応が進むきっかけになります。私が必要性を訴えていた周知啓発のリーフレットも、都議会公明党が議会質問で、都から初めて「作成する」との答弁を引き出してくれました。

公明党は、国会議員も国会質問で相談体制の整備を求めてくれています。対策の充実を期待しています。

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