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新型コロナ そこが知りたい!感染後、体調不良が続く
筋痛性脳脊髄炎や慢性疲労症候群の可能性も
原因不明の慢性疾患、診断法確立へ研究進む
主な症状
▽労作後の消耗▽睡眠障害▽思考力・集中力の低下▽起立不耐症(立っていることに耐えられない)▽頭痛・筋肉痛▽光・音・化学物質などに過敏▽体温調節困難…などが6カ月以上続く
新型コロナウイルス感染の後遺症として、体調不良が長期間続く場合があり、その中に原因不明の慢性疾患「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」とみられる例があると指摘されています。海外でも論文が発表され、国内では患者団体が研究の促進を求めています。
世界保健機関(WHO)で神経系疾患と分類されているME/CFSは、国内で慢性疲労症候群と呼ばれてきましたが、近年は世界的に筋痛性脳脊髄炎との併記が多くなっています。発症すると▽身体的・知的活動後に体が衰弱して回復に極端に時間がかかる(労作後の消耗)▽睡眠障害▽思考力・集中力の低下――などが続き、日常生活を送ることが困難になります。国内の患者は人口の0.1%と推定されています。
歴史的には、重症急性呼吸器症候群(SARS)などウイルス疾患の流行後にME/CFSが集団発生しており、ウイルスや細菌が免疫系に作用することが発症に関係しているとも考えられています。しかし、診断が難しく、対症療法しかないのが現状です。
病態の解明に向けては、国立精神・神経医療研究センターの研究グループが4月27日、ME/CFS患者の血液を解析して新たな免疫異常を発見したと発表。客観的診断法の確立や治療薬開発への応用につながる可能性が示されました。
患者団体のNPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」の篠原三恵子理事長は「診断基準の確立は、コロナ感染後に発症するME/CFSを早期に診断することに加えて、指定難病の要件を満たす上でも重要だ。診断法の実用化と治療法開発を進めてほしい」と語っています。
なお、同会は個別の相談には応じていませんが、ホームページ(HP)上でコロナ後遺症関連を含む各種情報を発信しています。