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コラム「北斗七星」
洋画歴代興行収入1位で、画家をめざす青年と上流階級の娘の出会いを描いた『タイタニック』がこのほど地上波で放送された。最も有名なシーンは、船首で、羽ばたくように手を広げた娘を、後ろから青年が支えるシーンだろう◆北斗子の心に残る場面はもう一つ。おびえる乗客の心を落ち着かせようと、楽団が最後まで優雅に演奏を続けるところだ。結局、8人の楽団員たちは船と運命を共にし、一人も助からなかった◆この話は史実で、楽団長はイギリス出身の若いバイオリニスト。乗船前にプロポーズしたばかり。後に遺体とともに引き揚げられたバイオリンには「婚約を記念して」と婚約者の言葉が刻まれていた◆文化・芸術はいつの時代、どのような時にも人々の心を和ませ、励ます力がある。むしろ、困難に直面している時こそ、その真価が発揮されるといえる◆今、コロナ禍の最中にあって、文化・芸術を楽しむ余裕などない、時ではないと切り捨てるのではなく、このような時だからこそ、必要としている人々がいることを忘れてはならない◆都議会公明党は27日、文化芸術活動が「都民に勇気と力を与える」として、映画館、美術館などに出されている休業要請の見直しを都知事に緊急要望。これらの施設は明日から時短営業などに切り替わることになった。(正)