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ワクチン接種、視覚障がい者に配慮
市が本人へ電話し予約
福島・会津若松市
接種券の入った封筒を手にする菊池さん(中)と談笑する伊藤県議(左)と樋川市議
新型コロナウイルスワクチンの高齢者接種が進む中、福島県会津若松市はこのほど、目が不自由な市民を対象に予約や接種に関する優先枠を設けた。その背景には、全盲で1人暮らしの男性からの“SOS”を受けた公明議員の働き掛けがあった。
13日夜、公明党の伊藤達也県議の元に、知人から1本の電話が入った。「ワクチン接種を予約できずに困っている視覚障がい者がいる」。その当事者は、市内在住の菊池正光さん(66)。菊池さんは27歳の時に病気で視力を完全に失い、現在は自宅でマッサージや指圧の治療院を営んでいる。
4月下旬、菊池さんの自宅に、市からワクチンの接種券や予約番号などが記載された書類が郵送された。封筒には「会津若松市健康増進課」と点字表記だけ。「ワクチン接種券在中」などの点字、同封書類自体の点字はなかった。
その約2週間後のこと。自宅を訪れたホームヘルパーに郵便物を確認してもらったところ、「ワクチン接種で接種券があること自体、初めて知った」という。
申請でも苦労した。同市の予約受け付けは専用ダイヤルのみで、接種券に書かれている10桁の接種券番号を電話で伝えなければならない。「番号を言い間違えたら他の人に迷惑を掛けてしまうのではないか」と不安がよぎり、菊池さんは自力での申し込みを断念。ヘルパーの助けを借りて電話したものの、予約の申し込みが集中し、一向につながらなかった。
困り果てた菊池さんは、知人に実情を打ち明けた。その知人が伊藤県議に「菊池さんの接種を助けてあげられないか」と相談。伊藤県議は、すぐさま地元の樋川誠市議と連携し、市障がい者支援課と健康増進課に、障がい者への十分な配慮を行うよう強く働き掛けた。
結果、視覚障がい者の優先枠が新設され、市から直接、対象者へ電話をして予約を取る仕組みが構築された。後日、菊池さんは市から連絡を受け、かかりつけ医での個別接種を予約した。
一連の状況を踏まえ、党福島県議団は18日、県に緊急要望を行った。これを受け、県も障がい者に十分な配慮を求めるよう全市町村への通知を検討している。
「公明が光を当ててくれた」
伊藤県議と樋川市議は20日、菊池さんと懇談。菊池さんは「光が当たらなかった所に、公明党が光を当ててくれた」と感謝を述べると、伊藤県議と樋川市議は「支援を必要としている人に適切な情報が行き届くよう、サポートしていく」と力強く語っていた。