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不戦の誓い守り抜く
人権保障の拡大 絶えず追求
山口代表の講演(相模原市演説大会)から
公明党の山口那津男代表は17日、相模原市で、同市出身の政治家・尾崎行雄(咢堂)にちなんだ演説大会に出席し、講演した。その要旨を紹介する。
公明は緻密な連携で民主主義を推進
“憲政の神様”と称される尾崎行雄は、私だけではなく、多くの人が敬愛してやまない。「不戦」と、普通選挙を略した「普選」という、二つの「ふせん」に代表される人生であった。
今日は「日本の歩む道」というテーマをいただいた。尾崎は、1890年から63年間、国会議員を務め、この間に東京市長としても国内外に多数の業績を残した。彼の言葉を確認しながら、今の日本が直面する課題について話したい。
尾崎は、第1次世界大戦後、戦地の欧州で、都市も文化も、多くの人命も失われた悲惨な光景を目の当たりにした。そこで発したのが「戦争は勝っても負けても悲惨な状況を生み出す」という言葉だ。この経験が不戦の主張に連なる。
二度と悲惨な戦争を起こさないために尾崎は、国際協調を提唱した。しかし、今の世界はどうか。自国の利益だけを求めて大国同士がぶつかり合えば、閉鎖的な貿易政策が争いを引き起こした先の世界大戦のように、力対力の勝負になってしまう。日本は、環太平洋連携協定(TPP11)や、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)などを推進し、尾崎がめざした多国間連携の道を開く努力をしなければならない。
過ちは繰り返さず
不戦や国際協調の考え方は、日本国憲法にも通じる。憲法9条を改正すべきか否かという議論があるが、戦後の歩みを考えた時に、歴史の教訓を国民が共有し、戦争という過ちを繰り返さないという誓いは今後も固く守っていくべきだ。戦後創設された自衛隊は、専守防衛の立場である。海外で災害の復旧・復興支援や国連平和維持活動(PKO)に参加するようになったが、自衛隊の任務については、2年前に施行された平和安全法制を集大成として定めた。今、日本の大多数の国民は、自衛隊は必要だと認めている。憲法9条を変える必要があるのかは、慎重に考えるべきだ。
普通選挙の実現に関して尾崎は、「良い憲法を作ることはまことに容易なことである。しかしこれを行うことは非常に難しい」と語っている。彼は、憲法に基づく政治を訴え、特定の藩出身者が内閣の中心になっていた「藩閥政治」を厳しく批判。選挙で選ばれた国民の代表がつくる政党こそ中心になるべきで、それでこそ初めて民主主義だと主張した。この挑戦は大きな抵抗も受けたが、ついに1925年、普通選挙法として結実。前後して原敬や浜口雄幸などによる政党内閣も誕生する。しかし、その民主的な政党政治も、犬養毅が「5・15事件」で暗殺されて終わる。
犬養は尾崎の盟友であり、共に理想をめざした政治家だった。盟友を失い、療養中の夫人も亡くし、自身も病床に伏して打ちひしがれていた70代半ばの尾崎が発した有名な言葉が「人生の本舞台は常に将来に在り」だ。国会議事堂のすぐそばにある憲政記念館の石碑にも刻まれている。
現場の声、政治に反映
政党政治や民主主義が確立された現在、めざすべきは、人権が保障され、広がっているかどうかだ。例えば、憲法26条には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とある。これは絶えず追求しなければならない。その歩みの中で、公明党は教科書無償配布や幼児教育の無償化に取り組み、今ようやくそれが整う時代を迎えた。
民主主義社会においては、国民の声、現場の声を的確につかみ政治に反映していくことが本来の政党のあり方だ。公明党は、地域に根差した全国の地方議員と国会議員の緻密な連携でこれを推進する。