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2021年5月10日

【主張】B型肝炎訴訟 再発患者の救済へ国は対応急げ

乳幼児期の集団予防接種が原因でB型肝炎を発症し、症状が治まった後に再発した患者が、国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決があった。

争点は、被害発生から20年経過すると損害賠償請求権が消滅する民法の「除斥期間」の始まり(起算点)の時期だった。2審の福岡高裁は、提訴時点で最初の発症から20年以上過ぎているとして請求を退けたが、最高裁は再発時を起算点と認め、損害賠償請求権は消滅していないと判断した。

肝炎は再発の可能性があり、最初の発症から長期間経過した後にウイルスが再増殖して症状が悪化するケースもある。判決は被害者の実態を直視し、救済を優先した妥当な判断と言えよう。

予防接種法が施行された1948年から88年にかけて、集団予防接種の現場では注射器が使い回され、B型肝炎ウイルスの感染が拡大。2006年に国は責任を認め、12年から被害者に給付金を支払う制度が始まった。給付金は最高3600万円支払われる。

原告の2人は1987年と91年にそれぞれ発症し、一度改善したものの2004年以降に再発。提訴は最初の発症から20年以上過ぎていた。

判決では、原告のような慢性型B型肝炎の場合、再発について医学的には解明されておらず、発症時点で再発による損害賠償を求めるのは不可能と指摘した。さらに「迅速で全体的な解決を図るため、国は被害者の救済という責務を適切に果たすよう期待する」との補足意見を示した。

国は、今回の判決を再発患者の救済策を実現する契機にすべきである。公明党の竹内譲政務調査会長も、解決策の必要性を指摘し、党として検討する考えを示している。

B型肝炎を巡っては、無症状患者への対応も重要だ。

「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓は、多少の悪化では自覚症状がなく感染に気付かない人も少なくない。集団予防接種でB型肝炎ウイルスに感染した人は、約45万人と推計される。ところが、給付金の支給を求めた人は約8万5000人にとどまる。

肝炎は悪化すると、肝硬変や肝がんを発症する恐れもある。国は、給付金の周知や検査を促す取り組みを強化してもらいたい。

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