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ネット中傷 許さない
裁判手続き簡略化、発信者を特定しやすく
公明が法改正リード
昨年5月、テレビ番組に出演していた女子プロレスラーがインターネット上で中傷を受けた末に自ら命を絶ったとみられる事件を機に、クローズアップされたネット中傷問題。公明党はネット中傷対策の強化へ、改正プロバイダー(接続業者)責任制限法に主張を反映させ、今年4月の成立を推進してきた。
改正法の柱は、SNS(会員制交流サイト)などに投稿した発信者の特定に必要な裁判手続きを簡略化したことだ。被害者が発信者に対して損害賠償請求をするには、発信者を特定する必要があるが、現在の制度では、通信記録を持つSNS運営会社と、氏名や住所などを把握する通信事業者に対して、別々に裁判手続きを行わなければならない場合が多い。特定には1年以上かかることもあり、被害者にとって負担は大きい。
改正法では、従来よりも簡易な裁判手続きを創設。被害者の申し立てを受け、裁判所がSNS運営会社と通信事業者へ同時に開示を命令できるようにすることで、1回の手続きで氏名などが開示されるようになり、期間も大幅に短縮される見通しだ。
公明党は、昨年5月に「インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策検討プロジェクトチーム」を設置。被害者側の代理人である弁護士などとの意見交換を精力的に行い、翌6月には政府へ、裁判手続きの簡素化・迅速化などを提言していた。
ネット問題に取り組む弁護士・清水陽平氏
被害者負担、軽減に期待
ネット中傷の被害者が発信者情報の開示を請求し、開示が実現するまでに時間がかかると、被害者が闘う意思を保つことが困難になり、精神的に病んでしまう人が多い。しかも、今は新型コロナウイルスの影響で裁判手続きが遅くなっていることから、被害者はさらにストレスを抱えている。
今回の法改正で裁判手続きが2回から1回で済むことにより、被害者が精神的に追い込まれるリスクが多少なりとも減ることを期待している。党プロジェクトチームの会合で弁護士など実務に携わる人の意見を積極的に聞いて、政府に対策を提言した公明党に感謝したい。