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【主張】食品ロス過去最少 国民の高い意識背景に一層加速を
家庭や飲食店などで、まだ食べられる食品が捨てられる「食品ロス」。政府の推計によると、2018年度は前年度より12万トン少ない600万トンで、推計が毎年発表されるようになった12年度以降で最も少なかった。
ただ、食品ロスは毎年600万トン台の前半で増減を繰り返しており、過去最少を手放しで喜ぶわけにはいかない。
政府は、30年度までに489万トンまで減らす目標を掲げている。これは00年度の980万トンの約半分に相当する量だ。目標達成へ取り組みを加速させる必要がある。
食品ロスが過去最少となったことについて環境省は「食品廃棄物を減らそうという意識が高まったためではないか」と分析している。
実際、食品メーカーが昨年行った調査では、「食品ロス」という言葉を知っている人の割合が97%に上っている。国民が関心を持っていることは、食品ロス削減を一段と進める上で重要だ。
公明党は食品ロス削減を一貫してリードしてきた。
15年12月には、他党に先駆けて党内に「食品ロス削減推進プロジェクトチーム(PT)」を設置し、食品ロス削減が国民的な運動となるよう取り組んできた。党PTは党女性局などと協力しながら、食品ロスに関する講演会や街頭演説会を全国各地で実施。各地方議会でも積極的に取り上げた。
19年5月には、公明党の主導で食品ロス削減推進法が成立した。同法は、生産から消費まで各段階の食品ロス削減に向けた努力を「国民運動」と位置付け、国や自治体、事業者、消費者に対して自主的な取り組みを求めている。
政府の削減目標の達成へ指摘しておきたいのは、未利用食品を福祉施設や生活困窮者などに提供し、コロナ禍でも大きな役割を果たしている「フードバンク」への支援だ。
フードバンクで活用されているのは、食品ロス全体のうち0.1%にも満たず、支援の需要に対して供給が極めて足りない状況だという。国は、食品メーカーや小売店に余った食品の情報を入力してもらい、バンクの運営団体や福祉施設に仲介するシステムの構築を進めている。早期の本格稼働を期待したい。