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2021年4月29日

燃えにくい街づくりへ東京の“木密”対策進む

特区創設から8年

近い将来に発生が危惧される首都直下地震に備え、東京都は“最大の弱点”である木造住宅密集(木密)地域対策を進めてきた。その推進力が、老朽家屋の建て替えや道路の拡幅などを支援する「不燃化特区制度」だ。2013年度の創設以降、市街地の火災への強度を押し上げている。都は3月末までの時限措置だった同制度を5年延長し、燃えにくい街づくりをさらに進める考えだ。

老朽家屋の除却・建て替え支援

東京都には現在、JR山手線の外周部の区部を中心に、23区の面積の14%に当たる約8600ヘクタールの木密地域が広がる。こうした地域は倒壊の恐れがある老朽建築物や、消防車が入れないような狭い道路が多く、災害時に火災の延焼が広範囲に及ぶリスクを抱える。

不燃化特区制度では、特に大きな被害が想定される計28カ所を「整備地域」とし、同地域内で重点的・集中的に改善を図る52地区を「特区」に指定。都と区が連携して特区内の道路拡幅や建築物の不燃化に取り組み、燃え広がらない街づくりをめざす。

住民への支援策として都と区は、老朽建築物を取り壊して更地にする除却費や、建て替えに伴う建築設計費などを助成。さらに最長5年間、固定資産税や都市計画税を減免する。また、道路の拡幅整備を行う場合に沿道の住民の合意形成を進めるために、土地の権利関係を調整する弁護士や税理士などの専門家を派遣する。

不燃率6割超、延焼抑える目安突破

整備地域の不燃領域率

不燃化特区制度の導入以降、市街地の“燃えにくさ”を表す指標「不燃領域率」は着実に上昇している。整備地域全体の不燃領域率は、制度導入の前後で58.4%(11年)から63.6%(19年)へと約5%向上。この指標が60%を超えると延焼は抑制されるといわれる。都の担当者は「特区制度の成果の表れ」(防災都市づくり課)と手応えを語った。

「特区制度のおかげで建て替えを決断できました」。こう語るのは、江東区北砂4丁目に住む豊田千恵子さん(65)。6年前に助成制度を活用し、所有する築40年超のアパートを除却。住居を新築した。

江東区では、公明党の細田いさむ都議(都議選予定候補=同区)の推進により、住民の相談に専門家が対応する「不燃化相談ステーション」を特区内に開設している。豊田さんも同ステーションを利用し、土地の活用方法や老後の資金について相談。「プロの助言がとても心強かったです」と話していた。

都議会公明、制度改善リード

都議会公明党は、木密地域の不燃化特区への指定を各区で推進するとともに、制度の運用改善にも取り組んできた。

制度開始当初、事務所や店舗専用の建物は建て替え助成の対象外とされ、商店街を抱える特区で建て替えが進まない要因となっていた。現場の声を受け止めた都議会公明党は、14年9月の本会議などを通じて制度の見直しを主張。15年度からは助成の対象を住宅に限定せず、全ての用途へと拡大された。

次の5年で総仕上げを

東京都立大学名誉教授 中林一樹氏

この10年で東京都の不燃化は進み、それぞれの整備地域で不燃領域率は上がってきている。もう5年、特区制度を延長したことで、目標の70%が見える地域が増えるだろう。不燃化特区と同時に、都が木造密集市街地に都市計画道路を整備し、延焼遮断帯の形成を進めてきた特定整備路線のための5年延長ともいえる。

個々の住宅の不燃化は、高齢者にとって家を建て替えたり大規模改修する動機付けが少ないことから、特区制度の活用が進みにくい実態もある。理想は、高齢者が子どもの家族と家を建て替えて二世帯同居するケースだ。これからは、こうした建て替え需要に特区制度がつながるよう、防災と福祉の両面からの働き掛けが重要になってくる。

2023年には関東大震災から100年を迎える。あのような惨事は二度と起こさないとの決意のもと、この節目に向けて不燃化特区と特定整備路線の総仕上げを行い、防災都市に生まれ変わった東京を世界に発信していくべきだ。

「福祉の党」を掲げる都議会公明党には、福祉の視点に立った防災対策をさらに打ち出してもらいたい。

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