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コラム「北斗七星」
放送中のNHK朝の連続テレビ小説(朝ドラ)『おちょやん』の主人公は、昭和の大女優・浪花千栄子がモデル。その自伝『水のように』を読んだ◆大阪で貧しい家に生まれる。小学校も行けず、奉公に出された仕出し弁当屋で8年間、休みなく働いた。弁当箱を洗うにも飯粒一つ残っていたら叱られ、台所の流しの網にたまったカスの中の飯粒を食べさせられたことも◆20歳を前に身一つで飛び出し、京都でプロダクションの門をたたき、女優の道へ。20歳代から20年余り喜劇で大衆に笑いを届けた。夫の裏切りなど辛酸をなめるが、芸域を広げ、66歳で亡くなる直前まで働いた◆4年前の朝ドラ『わろてんか』のヒロインのモデル、吉本せいは、弟の林正之助と協力し、吉本興業を創業。俳優や歌手ばかり大事にされ、「長い間、お笑い芸人は芸能界において、もっとも低い地位」(坂本優二著『吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉』)。そんな状況を打破したいと努力を重ね、吉本興業は日本一のお笑いエンターテインメント企業に◆「つねに大衆を忘れない」(同)と語った姉が60歳で逝き、後を一身に担った弟も「大衆の声を聞け」(同)と、晩年まで現場に身を置き、30年前のきょう、92歳で世を去った。そう、大衆と共に、公明党も幾多の困難を乗り越えてきた。今年の政治決戦も勝つ。(三)