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【主張】就活戦線 コロナ禍で不安抱える学生支えよ
主要110社を対象とした2022年度入社の新卒採用に関する共同通信の調査によると、採用数を今年度実績と比べて「減らす」と回答した企業は22%で、「増やす」の17%を上回った。
新型コロナウイルス感染拡大の打撃が大きい観光関連や飲食業を中心に、幅広い業種で採用を抑える傾向が強い。業績好調な自動車や電機、IT関連などは採用に前向きだが、全体としては学生にとって厳しい現状と言えよう。
来春採用に向けた企業の説明会が先月解禁され、6月に面接などの選考活動が始まる。企業は、学生が安心して就活に臨める環境づくりに、まずは努めてもらいたい。
昨年の採用活動でも、コロナ禍の影響で採用数を抑えた企業が多かったが、それに加えて、会社説明会の延期や中止、選考活動の取りやめなどが相次ぎ、内定取り消しもあって就活生を混乱させた。
コロナ禍で先行きが見通せない事情は理解できるが、学生の将来がかかっていることも忘れずに対応してほしい。
調査では、感染症対策として採用活動のオンライン化が進むことも明らかになった。
ただ、学生にとっては対面の機会が限られ、職場の雰囲気がつかみにくいなどの不安も生じている。企業はオンラインの利点を生かしつつ、コミュニケーションの充実に知恵を絞ることが求められる。
行政による支援も重要だ。
公明党の推進により、コロナ禍で不安を抱く就活生への支援策が実施されている。
例えば、全都道府県に設置された「新卒応援ハローワーク」では、臨床心理士による心のケアも含め、担当者制によるきめ細かな個別相談を行っている。内定取り消しに遭った就活生には、特別相談窓口を設けて対応している。
経済産業省は今後、中小企業とのマッチングや経営者との交流の場を設ける。大企業に目が向きがちな学生の視野を広げる機会となろう。
人材確保のため、新卒者ら新規雇用者への給与が前年度と比べ2%以上増えた企業に対する法人税の税額控除も、今年度から始まった。
政府は、これらの支援策が活用されるよう、就活生と企業の双方にしっかりと周知する必要がある。