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【主張】コロナ変異株 急速に拡大、最大限の警戒を
新型コロナウイルスの変異株が急速に拡大している。最大限の警戒が必要だ。
1日当たりの新規感染者数が13日に初めて1000人を超えた大阪府では、変異株に感染した割合が3日までの1週間で7割に上った。東京都では13日、変異株によるクラスター(感染者集団)の発生が初めて確認された。
厚生労働省によると、6日までに全国で変異株に感染した人数は、3月5日時点と比べ1カ月間で4倍に増えている。拡大するスピードの速さは、感染力の強さを示していると言えよう。
国内で確認されている変異株は、大きく分けて「英国型」「南アフリカ型」「ブラジル型」「由来不明型」の4種類とされる。
「英国」「南ア」「ブラジル」は人間の細胞と結び付く力を強める「N501Y」変異を持っており、国内で確認された変異株の大半は英国由来だ。一方、ワクチンの効果低減が懸念される「E484K」変異は「南ア」「ブラジル」「由来不明」が持つ。
英国型は、感染力が従来型の最大1.7倍とされ、重症化しやすいとの報告もある。大阪府など関西圏で主流となっているほか、東京都でも3月末から急拡大の兆しが見えている。各地で英国型が主流になれば、爆発的な感染再拡大が起きる恐れがある。
政府は、変異の有無を調べる「スクリーニング検査」の割合を陽性者の5~10%から40%程度に引き上げるとしているが、多くの自治体では達成できていない。民間の検査機関に協力を求めるなど体制強化を急ぐべきだ。
感染の急拡大による医療機関の負担増にも手だてが欠かせない。9日の衆院議院運営委で公明党の佐藤英道氏が財政支援を求めたのに対し、西村康稔経済再生担当相は、今年度予算にコロナ対策のため予備費5兆円を確保しているとして「必要な対策を機動的に講じる」と答えた。迅速に対応してもらいたい。
国民が取るべき対策は、飲酒を伴う懇親会など感染リスクの高い「五つの場面」の回避、マスク着用、手指の消毒など基本的には変わらない。だが、変異株は感染力が強い。これまで以上に強い警戒心と一層の対策徹底が重要だ。