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コラム「北斗七星」
新緑がまぶしい季節を迎えた。木々が色づき色彩豊かな花々が目を楽しませてくれる。多様性に満ちた自然美を構成する急峻な地形や河川、複雑な地質構造。その背景に、地球の表面を覆う岩盤(プレート)の境界が近接する位置に、脊梁山脈を抱える列島の成り立ちがある◆古事記の神話には「海月なす漂へる」(『古典を読む 古事記』、岩波書店)と。物語世界とはいえ、クラゲが海で漂う状態から地殻変動の影響も想像してしまう◆大地の間断なき営みから生まれたであろう国土。そして特筆すべき山紫水明の地や生態系を育む地として親しまれてきたのが国立公園だ。その父と称される田村剛氏によると、「国立公園として最も大切なのは、その悠久にして静寂な大自然の雰囲気」(『国立公園講話』、明治書院)という◆きょう15日から環境保全に向け国民の造詣を深める「みどりの月間」(5月14日まで)が始まった。コロナ禍でも、この期間内において環境保全に関わった功労者表彰が行われる◆一方、温暖化の防止に、みどりが果たす重要な役割に目を向けることも大切だ。森林は温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素を吸収し、幹や枝に長期間をかけて蓄積される。持続可能な暮らし方を見詰め“大自然の雰囲気”など守りゆく貴重な機会としたい。(照)