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【主張】教員不足 実態把握し人材確保へ手だてを
文部科学省は6日、公立小中学校と特別支援学校を対象に、各自治体が学校現場に配置したいと考えている教員数と実際の配置人数について、初の全国調査を5月に実施することを明らかにした。
これは、かねてから指摘されている教員不足の実態を把握することが目的だ。まして今年度から5年間かけて公立小学校に「35人学級」が導入されることになっており、十分な教員数を確保する必要性が一段と高まっている。現場のニーズをしっかりとつかむことは重要だ。
教員不足については、さまざまな要因が挙げられている。
なり手不足はその一つだ。小学校の教員採用試験の倍率が2020年度、過去最低になるなど、志望者が減少している。これは、少子化だけが原因ではない。心身のバランスを崩して休職や退職する教員が増えていることも教職を避ける理由になっているとみられている。
他国と比べても多忙とされる日本の教員の働き方改革を早急に進める必要がある。
この点、教員の事務作業などを支援する「スクール・サポート・スタッフ」や、授業で使うデジタル機器の操作をサポートする「ICT(情報通信機器)支援員」などを活用したい。
いずれも公明党の主張で実現したもので、導入した地域では教員の負担軽減に役立っている。
教員免許の更新制度も検証すべきではないか。現在、中央教育審議会(文科相の諮問機関)で検討されているが、更新に必要な講習などが現役教員の過度な負担とならないよう配慮が必要だ。
教員不足の解消に向けては、財源の確保も忘れてはならない。今年度予算には、35人学級の導入に伴う教員増加に充てるための費用が計上されているが、今回の調査によって、財源を一層拡充する必要性が明らかになることも想定される。調査結果を詳細に分析し、必要な対応を検討してほしい。
教員不足の実態や要因は、自治体によって異なる点もある。文科省は今回の調査結果を、地域の実情に合った人材確保策の強化につなげるべきである。