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2021年4月13日

見逃すな 子どものSOS

児童生徒の自殺防止へ 
学業不振 進路問題も原因に

2020年の小中高生の自殺が過去最多となった。その原因・動機を探るとともに、自殺予防への啓発活動を続けている中央大学客員研究員の髙橋聡美さんに、子どもからのSOSの受け止め方を聞いた。

2006年、公明党のリードで自殺対策基本法が制定されてから、予防対策が進み、年間の自殺者数は3万人台から2万人台へと減少している。しかし、その間、児童生徒の自殺者数は300人台から微増が続き、20年には過去最多の499人に達した。

自殺の動機・原因を見ると、小学生が「家族からのしつけや叱責」、中学生は「学業不振」、高校生は「進路問題」が上位。自殺には四つ以上の要因があると言われるが、子どもの自殺は、家庭や学校に起因するケースが多い。

コロナ禍の20年は、休校措置や経済活動の停滞で、子どもの精神面や生活面への影響が深刻化。加えて、有名人の自殺報道の影響で「後追い自殺」を誘発する「ウェルテル効果」の関与も指摘される。

16年の自殺対策基本法改正で学校現場での「SOSの出し方に関する教育」が努力義務と位置付けられた。今月6日、内閣府が決定した「子供・若者育成支援推進大綱」では「SOSの出し方教育」の推進が盛り込まれ、実効性のある取り組みが求められる。

インタビュー 中央大学客員研究員 髙橋聡美さん

中央大学客員研究員 髙橋聡美さん

「生きづらさ」に寄り添い「助けを求める力」を育む

コロナ禍では一般的な家庭でも、親といる時間が増え、ストレスを感じたり、居場所を失う子どもが増えました。学校や塾の勉強についていけなくなったり、新しい大学入学共通テストに不安を抱いた受験生も少なくありません。

また、睡眠や食事のリズムが崩れ、精神疾患を抱える子どもが増えました。DV(配偶者などからの暴力)や虐待、保護者のアルコール依存症など問題がある家庭の子どもは一層、高いリスクにさらされています。

コロナ禍で児童生徒の自殺が急増しましたが、問題は、それ以前からあったのです。子どもの自殺は、コミュニケーションの行き違いなど、どこの家庭でも起こり得るものです。そして学校では、成績や進路のことで、子どもは追い込まれています。

子どもたちは「死にたい」と思う前に「生きづらさ」を抱えています。その身近なSOSに大人が気付いて寄り添うことが、子どもの「助けを求める力」を育み、「生きづらさ」への対処を身に付けるきっかけとなります。そこで重要なのが子どものSOSの受け止め方です。具体的には①ジャッジしない②アドバイスしない③ありのままに受け止める④決め付けない⑤子どもの情景を見させてもらう――ことが基本的姿勢です。

例えば子どもが「忘れ物をした」と言った時、その言葉を受け入れ「忘れ物したの」と穏やかな口調で「オウム返し」をして受け止め、「詳しく聴く」ことで子どもに何が起きているか情景を見させてもらうことができます。このような姿勢は子どもからの信頼を得ることができます。反対に頭ごなしで決め付け、アドバイスすることを続けると、子どもは「分かってもらえない」と感じ、相談することを諦めたり、SOSを出せなくなります。

特に、子どもが失敗した時は、すぐに解決策を示さないで、気持ちを共有しながら声掛けし、子どもに主導権を持たせることで自尊感情を高め、立ち上がる力を育むことができるのです。

党自殺防止対策プロジェクトチーム(PT) 谷合正明座長(参院幹事長)

公明、動機解明で効果的施策めざす

児童生徒の自殺の増加は喫緊の課題であり、党PTとして総力を挙げ、国にも対策の強化を働き掛けてきた。

私は今年1月の参院予算委員会で、自殺対策の基礎となる警察庁の「自殺統計原票」の改正を提案。これが来年から実施され、自殺の動向がより的確に把握できるようになる。もちろん、未然に防ぐことが最優先だが、自殺した児童生徒の原因・動機や家庭環境などがより詳しく分かるようになり、効果的な施策につなげたい。

また、党として、子どもに身近で、世代も近いゲートキーパーを増やせるよう、後押ししたい。

児童生徒の自殺リスクの早期発見や実効性のある「SOSの出し方教育」の普及、「大人が小さなサインを見落とさない」取り組みを強力に進めていく。

たかはし・さとみ

中央大学人文科学研究所客員研究員、前防衛医科大学校教授。近著に『教師にできる自殺予防 子どものSOSを見逃さない』(教育開発研究所)。

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