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はつらつトーク2021 笑いも政治も 生きる希望届ける力
公明党衆院議員・いさ進一氏 × お笑い芸人・田村裕氏
長期化するコロナ禍で困窮する家庭に適切な支援が求められる中、“生きるすべと希望”をどう届けていくのか。中学時代に父親が職を失い家庭崩壊を経験した、お笑い芸人「麒麟」の田村裕さんと、公明党のいさ進一衆院議員(次期衆院選予定候補=大阪6区)が笑いの力やスポーツの大切さ、格差を是正する支援制度などを巡って語り合いました。
バスケ教室で地域に恩返し 田村
皆がスポーツできる環境に いさ
いさ進一衆院議員 田村さんは“バスケ大好き芸人”として、バスケットボールを通じて、スポーツの振興に取り組んでいます。先日、私の地元でもバスケ教室を開催してくれました。
田村裕氏 開催に当たって、いささんにさまざまな相談をさせてもらいました。バスケットボールには、学生時代に部活動の仲間が負けそうな自分を救ってくれたこと、兄が支援してくれたおかげでバスケを続けられたことへの恩返しの思いがあります。何か貢献できればと、動画投稿サイト「ユーチューブ」でのバスケ情報の発信や、大人、子ども向けのバスケ教室のプロデュースもしています。
いさ 裾野を広げることは重要です。公明党は年齢を問わず誰もがスポーツできる環境をつくる「総合型地域スポーツクラブ」の拡充に力を入れてきました。田村さんの活動は子どもたちに夢を与えていると思います。現場でのエピソードも多いのでは。
田村 幼児向けのボール遊び教室では、お母さん方から「私も来てよかった」と言ってもらえたことがありました。子育てで悩みを抱えている母親らの話を聞きコミュニケーションを取れる点にも意義を感じました。私自身にも得があって、より妻の育児の悩みに気付けるようになり、育児への責任感も増しました。
いさ まさに「情けは人のためならず」ですね。人のための行動が巡り巡って自分に善いことになって返ってきています。
田村 子どもの成長を願った行動が結果として、別の効果を生んだことはすごい勉強になりました。
親子の会話が家族を守る 田村
コロナ禍の生活支援、手厚く いさ
いさ 田村さんの人気を決定付けたといえば、自らの中学生時代の体験を綴って200万部超の大ベストセラーとなった『ホームレス中学生』があります。母親を亡くし、父親は無職に。自宅が差し押さえられて父親の「解散!」の一言で一家は離散。住まいを失い、公園暮らしをしていたのが田村さんでした。元は普通の家庭だったのに、です。
田村 熟読していただき、ありがとうございます。
いさ 今、コロナ禍で普通に生活をしていた家庭が、突然の収入減から困窮するケースが出ています。どうやって厳しい状況を乗り越えるのか。田村さんの著作から生きる力、必要な支援のあり方を読み解いていきたいと思います。
田村 私はばかで、当時、目の前で起きている事の重大さに気付いていませんでした。父親のせいで家がなくなったという思いは全くなく、何かできることはないかとポジティブに考えていました。コロナ禍で生活が苦しくなる場合もあると思いますが、卑屈になるのではなく、できることを一つ一つ探して前に進んでいくポジティブさを大事にしてほしいです。
いさ 結果として、楽観的な生き方がいい方向に向かったんですね。
田村 実は「解散」宣言には予兆がありました。エアコンがなくなったり、机に置いたお金が寝ている間に取られていたりと。今振り返れば、父親が私たち兄弟に一言相談してくれれば、みんなで家族を守ることができたかもしれません。
いさ 困窮した人に対して適切な支援をしていくのが、われわれ政治家の役目です。昨年の1人一律10万円の特別定額給付金では、ホームレスなど住所が定まっていない人にも行き渡るようにしたのです。
田村 確かに、公園には本当に困っている人がいるかもしれません。
いさ コロナ禍の長期化で、生活の基盤となる住まいをどうやって守るのかも喫緊の課題です。家賃を払えない人向けに、自治体から家主に家賃相当額を支給する住居確保給付金も利用できるようにしました。
田村 大変助かりますね。先日出演した番組では、コロナ禍で家庭の事情から進学できなかった人が取り上げられていました。
いさ 経済格差が教育格差になるようなことは阻止しなければならない。公明党の推進で返済不要の給付型奨学金が昨年大幅に拡充されました。大学の退学者はコロナ禍前よりも減少し、支援策が一定の効果を上げたともみられています。
田村 それを番組で言いたかった(笑い)。家庭が抱えている問題を親子で話し合うことも大切にしたいですね。子どもの未来を切り開くために必要な支援を受けることを話すことも、子どもにとって貴重な人生経験になると思います。
一言にこだわる大切さ実感 田村
「小さな声」聴き、政治を前へ いさ
いさ 一方、著書には恩人の死から母親の死を現実のこととして受け止め、無力感を覚え、死を意識したことも記されていました。つらい経験を乗り越えられたきっかけは。
田村 高校の担任の先生からもらった手紙でした。親が亡くなってからもできる親孝行として、自分の命を全うして明るく楽しむことを教えてくれました。同じ目線で話を聞いてくれる大人を、子どもも求めていると思います。
いさ 残念ながら、コロナ禍で若者の自殺が増えています。貧困や児童虐待も周囲がいかに気付いてあげられるかが重要です。電話やSNS(会員制交流サイト)での相談体制、相談員への支援を強化していきたいと決意しています。
田村 自分ができることは笑顔を届けることだと考え、インスタグラムに笑顔の写真を毎日投稿しています。笑顔を見て少しでもつらい気持ちが楽になってくれればうれしいです。
いさ 人を笑顔にして落ち込んだ心を救う。お笑い芸人の真骨頂ですね。東日本大震災では多くのお笑い芸人が被災地で活動していました。“笑いの力”はコロナ禍でも大きいといえます。
田村 「ぷっ」と笑えただけで心に余裕が生まれ、もう少し頑張ろうと気持ちが切り替わったという話をよく聞きます。自分の“一言”でみんなの顔色がパッと明るく変わるのは芸人にとって大きなモチベーションです。言葉で人々の心を変える。言葉にこだわり続けたいと思っています。
いさ 政治家も一面では言葉を扱う仕事です。国会質問や、街頭演説でも常に言葉の選び方には悩んでいます。自分が感動していない話をしても、人を感動させることはできません。
田村 芸人と政治家、似ているところがありますね。
いさ 芸人に浮き沈みがあるように、政治家も当選と落選があります。衆議院は「解散」と言われた瞬間、議員は無職になります。
田村 こっちにも「解散」があった。規模が違いすぎますが(笑い)。
いさ 田村さんの話を伺っていると、人々に寄り添おうとする優しさを感じます。
田村 ホームレス経験が全てで、あの時に多くの人に助けてもらった感動は忘れることができません。支えてくださった人はもちろん、今の子どもたちへの支援を通じ恩返しをしていきたいです。
目の届かない、見えないところに困っている人は常にいます。そうした人たちの情報をキャッチして、手を差し伸べていく政治を公明党には期待したいです。
いさ ありがとうございます。公明党の政治姿勢に「小さな声を聴く力」があります。小さな声、届けたくても届けられない人の声に耳を傾け、いかに政治に反映させていくかは、公明党の最も大事なテーマです。田村さんの期待を胸に、庶民のための政治を、全力で前へ進めてまいります。
たむら・ひろし
1979年、大阪府生まれ。お笑い芸人。99年、お笑いコンビ「麒麟」を結成。2007年、自伝的小説『ホームレス中学生』を出版し、ベストセラーに。バスケットボール通としても知られ、現在は各地でバスケ教室のプロデュースや指導にも携わる。