公明党トップ / ニュース / p157432

ニュース

2021年4月7日

コロナ禍 孤独に寄り添う「傾聴」

否定せず共感の姿勢で 
さいたま市のボランティア「今こそ必要な活動」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛生活が長期化し、高齢者らの孤独・孤立感の深まりが懸念される中、一人一人の声に耳を傾け不安を和らげる「傾聴」が注目されている。コロナ禍で活動を続ける傾聴ボランティアの現場を訪ねた。

ゲートキーパーの主な要素

「傾聴」は米国で考案されたカウンセリングなどに用いられる技法で、政府の自殺防止対策でも不安を抱えている人に気付き、寄り添う「ゲートキーパー(命の門番)」の主な要素の一つに掲げられている。

「傾聴で大切なことは、相手の話を否定しないで受け止め、共感しながら謙虚に向き合うこと」。こう語るのは、1999年4月に日本で初めて傾聴ボランティアを養成する活動を始めたNPO法人「日本傾聴ボランティア協会」の山田豊吉事務局長だ。傾聴に特別な資格は必要なく、全国の自治体などでも養成講座を実施している。山田事務局長は「全国で活動しているボランティアは3万人程度ではないか」とみる。

従来、ボランティアはそれぞれの地域でグループをつくり、社会福祉協議会(社協)や地域包括支援センターなどからの紹介を受け、個人宅や高齢者施設で傾聴を行ってきた。だが、コロナ禍で訪問が難しくなり、活動自粛を余儀なくされているグループも多い。このため活動に対する意欲を失い、ボランティアを辞める人も出てきている。

山田事務局長は、福祉の現場では高齢者の認知機能や生きる意欲の低下を指摘する声が相次いでいると説明。「昨春の緊急事態宣言以来、多くの人が人との触れ合いの大切さを再確認しているはずだ。一日も早い活動再開を願っている」と訴える。

電話も活用

一人暮らしの男性の話に耳を傾ける太田さん=3月29日 さいたま市

「お元気? きょうはどこかへお出掛けしたの?」――。3月29日午後、さいたま市で活動する傾聴ボランティアグループ「あゆみ」の太田順治さんが、電話機を片手に穏やかな口調で語り掛ける。相手は市内で一人暮らしをする80代の男性だ。近所のスーパーで食材を買い、自炊していることなどを話してくれた。太田さんは相づちを打ちながら、「自分で料理してるの? 偉いねぇ。買い物で転ばないようにね」と10分ほど話に耳を傾けていた。

「あゆみ」は市シルバー人材センターの会員約280人で構成し、2006年8月から活動を続ける。新型コロナの感染拡大前は市内の高齢者施設47カ所と、社協などから紹介された約70の個人宅へ月2回、定期的に訪問し、1時間程度の傾聴を実施してきたが、コロナ禍で施設への訪問はゼロに。先月の緊急事態宣言の解除後も、訪問再開のめどは立っていないという。一方、個人宅での活動も大きく減った。訪問する場合も、事前の了承を得た上で、玄関先で短時間の活動にとどめている。電話を活用するメンバーもいるが、電話代は自己負担だ。

太田さんによると、以前は健康や季節の話題、家族に対する不満などもあったというが、「コロナ禍で話題が暗くなった。遠方に住む家族に会えない寂しさを口にする人もいる」と話す。「『聞いてもらって気分が晴れた』と本人や家族から喜ばれている。こんな時だからこそ、傾聴は必要な活動だ」(太田さん)。

公明、支え手養成を提言

孤独・孤立対策について公明党は、2月16日に山本香苗参院議員を本部長とする「社会的孤立防止対策本部」を設置し、対策強化に向け視察や意見交換を精力的に行っている。

3月13日に行われた党全国県代表懇談会では、4月末にかけて全国の公明議員が有識者や現場で支援に当たる自治体、NPO法人などから課題や要望を聴取する活動に取り組むことを確認。寄せられた声を踏まえ、5月末までに政府に対策を提言する方針だ。

一方、3月15日には竹内譲政務調査会長らが、菅義偉首相に対し、コロナ禍でダメージを受けた人々への追加の生活支援・雇用対策に関する提言を申し入れた。その際、自殺防止対策の強化やゲートキーパーの養成推進など、孤独・孤立対策の充実も求めている。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

定期購読はこちらから

ソーシャルメディア