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【主張】北朝鮮の核開発 阻止へ国際協調体制の再構築を
北朝鮮の核兵器関連技術は着実に進歩している。国際社会はあらためて足並みをそろえ、北朝鮮の核開発の進展を食い止めるべきだ。
北朝鮮は先月25日、国連安全保障理事会(安保理)の決議で禁止されている短距離弾道ミサイルの発射実験を実施した。日本政府は、北朝鮮に対して厳重に抗議。菅義偉首相は、今月予定されている日米首脳会談で取り上げ、米国と連携して対応する考えを示した。
残念なのは、北朝鮮の核開発を阻止するための国際協調が揺らいでいることだ。
今回の北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、安保理は先月30日、緊急の非公式会合を開いたが、一致した見解をまとめて声明を出すことはできなかった。ロシアと中国が難色を示したとみられる。
日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は機能せず、日韓は個別に情報を収集した。両国は、それぞれ、今回の北朝鮮の弾道ミサイルは450キロ飛行したと分析したが、北朝鮮の発表では600キロである。
韓国は弾道ミサイルの最終的な行方を追えなかったと認めていることから、北朝鮮の発表が正しい可能性がある。北朝鮮の弾道ミサイル発射について、正確な情報を共有する日韓の協力体制のあり方を見直さなければならない。
今回の北朝鮮の弾道ミサイルで危惧すべきは、搭載可能な弾頭の重量が2.5トンと大型である点だ。
弾道ミサイルの弾頭の平均的な重量は500キロで、核弾頭の重量も同程度に小型化する必要があったが、今回のミサイルはこの課題を克服している。このようにミサイルの射程が延伸され、日本にも届くようになれば大きな脅威となる。
米国のトランプ前政権の際に醸成された北朝鮮への融和ムードは、米国が射程に入る大陸間弾道ミサイル(ICBM)以外の、中・短距離の弾道ミサイル開発への警戒を弱めることにならなかったか反省する必要がある。
現在、欧州諸国は北朝鮮の核開発を非常に深刻視している。ロシアや中国も巻き込んで、北朝鮮に対する国際協調体制を再構築しなければならない。