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2021年4月3日

重要土地調査法案の論点

北側一雄副代表に聞く

北側一雄副代表

政府は3月26日の閣議で、自衛隊基地周辺や国境離島など安全保障上重要な土地の調査・規制をする「重要土地等調査法案」を決定し、国会に提出した。同法案の概要を紹介するとともに、政府・与党における法案の事前審査の過程で公明党が重視した主な論点について、北側一雄副代表に聞いた。

法案の概要

「国境離島や防衛施設周辺等における土地の所有・利用を巡っては、かねてから、安全保障上の懸念が示されてきた」

安全保障の観点から土地所有の問題を議論してきた政府の有識者会議は、2020年12月の報告書で現状をこう説明した。長崎県対馬市の海上自衛隊対馬防備隊と北海道千歳市の航空自衛隊基地の周辺土地がそれぞれ外国資本に取得され、問題になっていた。

与党協議を経て閣議決定された重要土地等調査法案は、調査・規制の対象を重要施設の周辺と国境離島とし、その中から「注視区域」を指定し、特に重要なものは「特別注視区域」とした【表参照】。重要施設や国境離島が持つ安全保障上の機能を阻害するために土地が利用されないようにする。

「注視区域」に指定されると、政府は①行政機関の持つ住民基本台帳などの情報を収集し、②土地利用者などからの報告や資料の提出を求めるなどの調査権限を持つ(刑事罰あり)。その調査結果を踏まえ必要があれば利用規制をする。規制内容は①電波妨害やライフライン供給の阻害など重要施設の機能を妨げる利用の中止勧告や命令(刑事罰あり)②国による買い取りの申し出――など。

さらに「特別注視区域」に指定されると、所有権移転などの取引は事前届け出(氏名、住所、国籍、利用目的など)となり(刑事罰あり)、追加調査もできる。

政府は「基本方針」(閣議決定)で調査・規制の基本的な事項を定め、区域指定や勧告・命令は「土地等利用状況審議会」(新設)の意見を聞いて決定する。

国の安全を阻害する行為の防止をめざす

――法案審査にどのような姿勢で臨んだのか。

北側 この法案は、例えば、安全保障上重要な施設の周辺で高いアンテナを設置し、電波妨害をするような行為を規制するものだ。法律の目的そのものは理解できるが、そうした重要施設は全国に多数あり、周辺土地を所有また利用する日本人、外国人を問わず、全ての人を対象にしている。土地取引の大半は善意の経済活動だ。そこに一定の規制をするわけだから慎重に検討してきた。

経済活動と個人情報守り規制は必要最小限で実施

――経済活動とのバランスをどう図ったのか。

北側 法律の目的を達成するための調査・規制が、不必要に広範かつ過度なものであってはならないとの観点から、与党協議の結果、総則規定の第3条に「個人情報の保護に十分配慮」し、「必要な最小限度のものとなるようにしなければならない」との義務規定を明記させた。政府原案にはなかったものだ。

この規定は、この法律の解釈や閣議決定される基本方針の内容、さらには今後の運用に関する指針となるため、大変重要な意味がある。

――注視区域、特別注視区域に指定する基準は。

北側 法案では、注視区域は重要施設から「おおむね千メートルの区域内」で指定すると書かれているだけだ。そのため与党協議の中で政府に指定の基準を明確化するよう求めた。

政府は、注視区域の指定を検討する防衛関係施設について、▽部隊の活動拠点としての機能を有する施設▽部隊の通信や装備品の整備・補給機能を有する施設▽装備品の研究開発施設▽わが国の防衛に直接関連する戦略や部隊活動の研究を行う施設――の4類型を示した。全国には約1300の自衛隊施設があり、その半分が、これに該当する。在日米軍施設の多くもこれに該当するだろう。

特別注視区域も同様に、▽指揮中枢・司令部機能を有する施設▽警戒監視・情報機能を有する施設▽防空機能を有する施設▽離島に所在する施設――の4類型が示された。政府側は、こうした指定基準を基本方針にきちんと明記すると説明している。

――類型に該当すれば、全て指定されるのか。

北側 そうではない。例えば、重要施設周辺が密集市街地であれば、特別注視区域に指定されると、多数の住民や事業者に罰則付きの事前届け出義務を課すこととなり、土地取引などに大きな影響を与えかねない。そのことを与党協議で確認し、指定については「経済的社会的観点から留意」するとの規定を政府原案に追加した。これを受け政府は、法施行時、特別注視区域に指定できる機能を持つ重要施設周辺であっても注視区域として指定する場合があるとの見解を示した。

また、海上保安庁の施設や重要インフラ周辺も法施行時、特別注視区域に指定しないと説明があった。

――調査・規制に従わないと罰則が科されるが。

北側 罰則規定には何が罪になるかの明確な要件が必要である。

調査の中で土地の利用者などが報告や資料提出に応じない場合に罰則が科されるが、まず、政府が行政機関に対し情報の提供を求めるなど努力をした上で、「なお必要がある」と認められる場合に限り報告徴収をするよう政府原案の修正を行った。次に、中止命令に違反した場合も罰則が科されるが、安全保障上の機能を阻害する土地の利用行為とは何かを、基本方針で具体的に示すことを原案に追加した。

――運用の透明性については。

北側 罰則を伴う経済活動の規制をするのだから、透明性はできる限り確保されなければならない。政府からは、毎年、この法律に基づく運用の概要を取りまとめた上で、国会を含め、広く国民に対し公表することを基本方針に明記すると説明があった。

――自治体との関係は。

北側 法案では、区域を指定した後、速やかに関係自治体に通知するとしている。安全保障は国の専権事項とはいえ、円滑な運用のためにも自治体との事前の協議が必要で、政府は指定を行う前に自治体と意見交換していくと説明している。

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