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2021年2月3日

子育て世代包括支援センター いよいよ全国で展開

ワンストップの切れ目ない支援

公明党が推進してきた、妊娠・出産から子育てまでの切れ目ない支援を行う「子育て世代包括支援センター」の設置は現在、全市区町村の7割を超える自治体に広がっている(2020年4月時点)。国が今年度末での全国展開を掲げる中、先進自治体では同センターによる効果が表れている。“公明発”の支援施策を追った。

相談増など、先進自治体に効果

同センターは、妊娠から出産、就学前までの子育て相談にワンストップ(1カ所)で対応する市区町村の支援拠点やその仕組みを指す。行政の窓口などが異なることで、連携や支援が途切れてしまう従来の課題を踏まえたもの。フィンランドの子育て支援制度(ネウボラ)をモデルにした。

「対応する窓口が一元化され、潜在的に支援が必要なケースが浮き彫りになった」と語るのは、全国でもいち早く、同センターを設置した東京都文京区保健サービスセンターの阿部英幸所長だ。

同区では、15年4月に「母子保健コーディネーター」として、母子やその家族のニーズを踏まえた支援を行う担当保健師を配置。全ての妊産婦を対象とした面接や助産院と連携した相談体制の構築を図ってきた。

母子保健に関する相談は、センター設置前と比べ1.5倍に増加。医療機関などとの連携も密になり、14年度に700件だった妊産婦や乳幼児に関する他機関との連携は、19年度には1600件と倍増している。

ケア必要な母親、コロナ禍で増加

助産師などの専門職による「産前・産後サポート」や「産後ケア」の支援を提供することも同センターの大きな役割の一つだ。

「子どもと2人きりの生活が苦しかった」――。今年1月、川崎市の助産院「さくらバース」で産後ケア事業を受けた女性は、切迫した思いを口にする。

夫は単身赴任中で母と子一人、慣れない育児に追われる中で1泊2日の宿泊ケアを利用。助産師への相談や休息を通して、「リフレッシュできた」と笑顔を見せていた。

同市では、国のモデル事業を活用して14年から、産後ケアの取り組みを進める。運営は市助産師会に委託。同会の産後ケア事業部に助産師の母子保健コーディネーターを配置し、市内の助産院で宿泊や日帰り、訪問など幅広いケアを受けられる仕組みを実現した。

昨年度の利用者は1400人を超える。同市助産師会の勝俣喜代子会長は、「コロナ禍などで誰にも相談できず、産後うつの兆候が見られる母親もいる。ケアの必要性は増している」と語る。

普及促進、他党に先駆け提言

妊娠から出産、育児の切れ目ない支援を行う地域拠点の整備・普及に向けた提言を他党に先駆けて発信してきたのが公明党だ。党の主張を反映し、国は16年の改正母子保健法で子育て世代包括支援センターの整備を市区町村の努力義務と定め、今年度末までの全国展開をめざしてきた。

各市区町村においても公明党の地方議員が議会質問や要望を通して設置を推進。16年4月に296市区町村だった同センターの整備自治体は、昨年4月時点で1288市区町村まで拡大している。

一部の自治体では、母子保健と子育て支援の組織統合や妊産婦の全数把握が可能なことから、同センターの設置に至っていないという課題も残る。また、コロナ禍で設置を来年度に見送った自治体など、地域差はあるものの、おおむね全国的な体制整備が実現する予定だ。

また、東京都では都議会公明党の推進により15年度から、保健師の配置や産後ケア事業を行う市区町村の費用を補助する「ゆりかご・とうきょう事業」(東京版ネウボラ)を開始した。今年度からは、同事業に家事育児サポーターの派遣や多胎児家庭への支援を盛り込んだ「とうきょうママパパ応援事業」を展開。利用自治体は55市区町村(全63市区町村)に及ぶなど、都道府県レベルでの支援策も進めてきた。

迅速整備、公明がけん引
東邦大学 福島富士子教授 

子育て世代包括支援センターの全国的な整備がスピード感を持って進んだ背景には、早くから必要性を訴え、国と地方のネットワークを生かして、各地で取り組みを進めてきた公明党の働きがあったと感じる。

同センターの存在は、地域のつながりが薄れる中で、相談する場を失った母親の悩みや孤立感を取り除き、産後うつや児童虐待の予防にも結び付くものだ。

一方で、設置したものの支援の“質”というところでは十分でない自治体も見受けられる。母子保健コーディネーターによる相談支援だけでなく、産前・産後サポートや産後ケアの充実に向け、しっかりと予算を確保するなど、機能強化を図るべきだ。

公明党には今後も、安心して子どもを産み育てられる環境をめざし、取り組みを進めてもらいたい。

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