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コロナ禍 深刻化するDV被害
加害者との時間増え、つらい状況
NPO法人「全国女性シェルターネット」共同代表、広島大学ハラスメント相談室准教授・北仲千里氏に聞く
コロナ禍の収束が見えない中、DV(配偶者などからの暴力)の問題が一層、深刻化しています。NPO法人「全国女性シェルターネット」の北仲千里共同代表(広島大学ハラスメント相談室准教授)に現状などを聞きました。
我慢せず誰かに相談して
――新型コロナウイルスの感染拡大により、DVが深刻化しています。
北仲 外出自粛などの影響で、もともとDV被害に遭っていた人が、加害者と一日中、家に一緒にいるケースが増えました。その結果、被害者が自分一人でほっとする時間が消え、つらい状況に陥っています。それに加え、コロナの影響でパートの女性たちが職を失い、経済的な理由から、加害者と離れて住むことができない実態もあります。
また、失業や休業などの将来不安によって、加害者が以前よりもイライラして、一番身近な目の前にいる人に、ますます八つ当たりする場合もあります。私たちが相談を受けた中に、若い女性らが、加害者から殴られたり、首を絞められたりして身の危険を感じ、家を飛び出してきたといった緊急の事例もありました。
――被害に遭っている場合、どうすればよいでしょうか。
北仲 被害に遭っている人は、自信がなくなったり、これぐらいは我慢しなくてはいけないと、正常な判断ができずに感覚が麻痺してしまうケースがあります。我慢し過ぎずに誰かに相談して、何かよい解決策がないかを一緒に考えてもらうことが大事です。電話相談ができなくても、SNS(会員制交流サイト)やメールで相談を受け付けている行政の窓口もあります。とにかく他の誰かとつながり、加害者と二人だけの世界で我慢しないことが大事だと思います。
――国は昨年、相談窓口「DV相談+」の開設とともに、「特別定額給付金」をDV被害者らが避難先の自治体でも受け取れるようにしました。
北仲 今までどこにも相談したことがなかった人が、DV相談+に初めて相談でき、シェルターに避難できたといったことがありました。その一方で、特別定額給付金では、DV被害者への配慮は迅速に行われたのですが、DV被害者以外の家族、親族からの虐待や性暴力などの被害者への配慮は調整が遅くなったため、その情報が十分に伝わらず、受給を諦めた人もいたと聞いています。
その教訓を踏まえ、今後、コロナワクチンの接種がDVなどの被害者にもきちんと行き渡るかが課題になります。実際に、住民票は家族になっているけど、一緒に住んでいない人たちをどうするのか。家族で連れだってワクチン接種をできない人たちを、漏らさず受けられるようにできるのかといった問題があります。
支援の対象を世帯から個人に
――どのような支援が必要ですか。
北仲 日本の行政は、世帯単位で物事を処理する仕組みになっています。それが特別定額給付金のときにも個人単位にならず、DVや虐待だけは例外的に証明すれば受け取れるようになりましたが、個人単位で受け取れる仕組みづくりが重要だと考えます。そうすれば、ワクチン接種も、DV被害者が加害者の目を気にせず、申し込むことができるようになると思います。
また、DVは「配偶者からの暴力」とされていますが、交際相手からの被害もあります。さらに親からの虐待や、親、きょうだい、親戚からの性暴力などに苦しんでいる人もいます。被害者が成人の場合、婦人保護事業の支援になりますが、同事業の根拠法が保護更正を目的とする売春防止法にある限り対応には限界があります。ぜひ、新たな法的枠組みの検討を進めてほしいと思います。
――公明党への要望などがあれば、お願いします。
北仲 国においては与党の一角として、DV防止や母子家庭の支援に取り組んでもらっています。現在、DVを巡り、通報や保護命令の対象を身体的暴力に限らず、精神的、性的暴力も含めるよう、DV防止法の改正に動き出しているので、より良い法律になるよう進めてほしいです。









