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入学前にランドセル、制服代
就学援助 前倒し支給が拡大
自治体の8割超で実施
公明、国と地方でリード
経済的に苦しい世帯が子どもの小中学校入学前にランドセルや制服の購入などで多額のお金を用意しなくても済むよう、義務教育の「就学援助」で学用品費などを入学前(3月以前)に支給する市区町村が、公明党のリードで大きく広がっている。26日発表の文部科学省の調査結果によると、入学前支給を実施する市区町村の割合は、2017~20年度で小学校が5.1%から82.3%、中学校が9.3%から83.8%へと拡大した。
さらなる増加も
調査では、21年度(今年4月入学)以降の入学前支給を検討していると回答した市区町村が、昨年7月時点で小学校6.2%、中学校5.3%に上っており、実施自治体は、さらに拡大する見通し。
就学援助は市区町村が実施。生活保護を必要とする「要保護者」を対象に国の補助を得て行う支援と、要保護者に準じる程度に困窮している「準要保護者」を対象に自治体単独で行う支援がある。
調査によると、19年度の就学援助の対象者数は全国で約134万人(要保護者10万人、準要保護者124万人)。
国は、要保護者へのランドセル代や制服代などの「新入学児童生徒学用品費等」について、19年度の1人当たりの単価を小学校で5万600円、中学校で5万7400円と設定。調査では、19年度に準要保護者も国と同額以上の単価に設定した市区町村が、小中学校ともに約7割に上ったことが判明している。
要保護者への就学援助に関して、国の補助金交付要綱では長年、小学校入学後の支給とされていた。このため、準要保護者に対しても入学後の支給とする市区町村がほとんどだった。
そこで公明党は17年3月の国会審議で、要綱を改正して入学前への前倒し支給を可能にするよう訴え、文科省から「速やかに行いたい」との答弁を得た。政府は17年3月31日付で要綱を改正し「小学校への入学年度開始前」に支給できることを明確にした。
ただ、要保護者、準要保護者ともに、実際に入学前支給に踏み切るかどうかは、各市区町村の判断に委ねられた。このため、公明党の地方議員は、議会で訴えるなどして、首長らの決断を促してきた。