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2021年3月29日

【主張】刑事裁判のIT化 弁護活動の円滑化へ検討急げ

日本の司法は情報技術(IT)の利用で他の先進国に後れを取っている。

裁判には膨大な書類のやりとりが必要だ。その「紙」を電子データにして、公判もウェブ会議で実施する方法が世界では進んでいる。

政府は2018年から、民事裁判のIT化を検討してきたが、30日から刑事裁判のIT化も法務省の検討会で始める。刑事裁判では冤罪は許されない。そのため憲法にも詳細な手続き規定が置かれているほどだ。ITによる省力化で、弁護活動が円滑になり、被告人の利益につながることが期待される。

弁護活動にとって、公判前に検察官から開示される証拠を閲覧することは欠かせないが、今は「紙」ベースであるため検察庁に出向き、コピー代も支払う必要がある。

国選弁護人の場合は大部分が税金で賄われるが、私選弁護人の場合は被告人が全額支払うことになる。コピー代が600万円を超えた例も報告されている(2月12日付「毎日新聞」)。これが電子データ化されると弁護士事務所からいつでも閲覧可能になり、コピーの必要もなくなる。この手間が省けるだけでも弁護活動の充実に役立つ。

また、公判もウェブ会議が認められ、遠隔地からの証人尋問も可能になれば、裁判の迅速化にもつながる。しかし、画面を通しての尋問で裁判官や裁判員が十分な心証を得ることができるかどうかの課題は残る。

さらにIT化が憲法の保障する「裁判の公開」の原則にかなうのかどうかも検討が必要になる。「裁判の公開」は司法の公正と国民の法に対する信頼を確保するための制度である。利便性、効率性の追求だけでは済まされない。

一方で、IT化は捜査段階でも求められている。

家宅捜査や差し押さえ、逮捕には裁判官が発付する令状が必要だ。現在は、警察官が裁判所まで行って証拠とともに請求し、裁判官の審査を受けなければならない。地域によっては移動時間がかかり緊急の捜査に支障が出ることもあるという。

司法のIT化は法改正や安全なシステムの構築など課題が多いが、スピード感を持った検討が必要である。

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