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生活保護の申請
虐待、音信不通10年などは親族への照会 不要に
円滑な受給へ転居指導の留保も
生活保護を申請した人への援助ができるかどうかを福祉事務所が親族に問い合わせる「扶養照会」について厚生労働省は、親族が虐待の加害者であれば照会を不要にするといった実施要領などの見直しを行い、3月から運用を始めた。「親族に知られたくない」と扶養照会を理由に申請をためらうケースがある現状を受け、コロナ禍で困窮している人が申請しやすいよう公明党が推進した。
従来、照会不要の例としては▽家庭内暴力があった▽親族が長期入院患者や、おおむね70歳以上の高齢者▽親族と20年間、音信不通――などがあった。
今回の見直しでは、照会不要のケースとして虐待加害者のほか、「親族に借金をしている」「相続を巡り対立している」「縁が切られている」などを例示。音信不通の期間も「10年程度」に短縮した。
その上で厚労省は、自治体への事務連絡で、これらの例示に直接当てはまらなくても個別の事情に応じて判断できると明記した。
一方、生活保護に移行する際に、家賃が一定基準以下の住居に引っ越すよう促す「転居指導」について厚労省は、コロナ収束後に収入が回復する可能性の高い人などには指導を留保できるとする自治体宛ての事務連絡を2月26日に出した。これにより、現在の住居に住み続けながら生活再建をめざせるようにする。
公明党は、生活保護を必要とする人が円滑に受給できるよう弾力的な運用を推進してきた。1月21日には政府への緊急提言で、扶養照会における個々の状況に寄り添った対応や転居指導の一定期間猶予を要請。2月4日の衆院予算委員会では竹内譲政務調査会長が、運用の改善を訴えていた。