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【主張】所有者不明土地 登記義務化、権利放棄で発生防げ
九州の広さの土地が所有者不明に――民間の研究会が2017年に発表した調査が契機となり、所有者不明土地が重要問題となっていた。大事な公共事業が土地所有者探しで何カ月も遅延するようでは国土管理に支障を来す。
政府は18年から、所有者不明土地の活用促進や、所有者探索の迅速化などの対策を進め、いよいよ所有者不明土地の発生予防をめざす法案を先月、国会に提出した。
相続登記の義務化や、相続土地の所有権放棄を認めるなど新たな制度も導入した。今国会での成立を期待したい。
所有者不明土地とは、不動産登記簿を見ても所有者が直ちに判明しない、また、判明しても所在不明で連絡がつかない土地のことである。
登記簿で判明しない理由は、登記が任意であるからだ。相続しても利用、売買の予定がない場合、登記が放置されやすい。相続人が複数いて、しかも何世代にもわたって登記が放置されると、昭和初期に50人だった所有者が平成末期には約700人になっていた例もある。
所有権放棄も重要だ。相続をしたけれども持て余して処分に困る土地、いわゆる「いらない土地」の行き場所がないため、放置され荒れ地になる傾向がある。
確かに、都会で生活する人が地方の「いらない土地」を相続しても税金や管理費用がかかるばかりだ。過疎地の土地なら売ることも難しい。自治体への寄付も、その土地の利用予定がない限り受け付けてもらえないのが現実だ。
これでは登記が義務化されて土地所有者が明確になっても、管理不全の土地を増やしかねない。それよりは相続した土地の所有権放棄を認め、国有地にした方が良い。
当然、相続登記をした人が管理責任逃れの目的で所有権放棄をするモラルハザード(倫理観の欠如)は避けるべきだ。そのため、建物がある土地や権利関係に争いがある土地など管理に過分な費用がかかる土地は対象外とした。
先の研究会は、無策なら団塊ジュニア世代が高齢者となり相続が増え始める40年には所有者不明土地が北海道の広さになると推計していた。国土保全、有効活用のためにも真剣に取り組む必要がある。









