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【主張】119番 多言語で対応できる体制整備を
秋の全国火災予防運動が実施中だ。その初日となった9日は「119番の日」。火災だけでなく事故や急病などの際に助けを呼ぶ大切な番号だが、落ち着いて通報するのは意外と難しいものである。
また、携帯電話から119番通報する場合には注意が必要だ。携帯電話からの通報も固定電話と同様、局番なしの「119」にかければつながるが、各消防本部の管轄地域の境界付近から通報すると、通報箇所を管轄する消防本部とは別の本部につながってから転送されることがある。電話を切らないようにしたい。
この119番は、日本人だけが使うとは限らない。急増する訪日外国人にとっても緊急時の頼りとなる。しかし、問題となるのが言葉の壁である。これをどう乗り越えていくか。
総務省消防庁は現在、119番通報に多言語で対応できる体制づくりを進めている。
これは、民間のコールセンターに通訳を依頼し、消防本部の指令員と通報した外国人の3者間で通話するというもの。大半のコールセンターは英語、中国語、韓国語に対応しており、これにスペイン語とポルトガル語が加われば、外国語による通報の9割以上をカバーできるとされる。
消防庁の調査によると、3者間通話の導入により多言語対応が可能になっているのは、全国約730の消防本部のうち、6月末時点で279本部(38%)。同庁は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに導入率100%をめざしている。
気になるのは、都道府県別に見ると導入状況にばらつきがあることだ。
長野や沖縄など7県は100%だが、0%の所も4県ある。地域によって実情は異なろうが、今後も多くの外国人が日本を訪れると見込まれるだけに、積極的に導入を進めてほしい。消防庁が導入経費を地方交付税で支援していることも強調しておきたい。
救急車の呼び方や救急車が必要となる症状などを紹介する外国人向けのマニュアルが、消防庁のホームページからダウンロードできるようになっている。英中韓とフランス、イタリア、タイの6カ国語に対応しており、こちらの周知にも努めてほしい。