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コラム「北斗七星」
電車で出掛けるときは、新しい時刻表を確かめておきたい。きょうはダイヤ改正の日。鉄道会社の多くが、各地で最終電車の運転時刻を繰り上げるのが特徴である◆首都圏では、暫定的に終電を早めていたが、繰り上げダイヤに固定する。JR東日本が東京駅から半径100キロ圏内の主要路線で最大30分程度。これに接続する私鉄、地下鉄が歩調を合わせる◆最大の理由は言うまでもない。新型コロナの影響で乗客が激減したことだ。終電を早めるのに加え、「会社発足以来の危機」と強調するJR九州は、九州新幹線の本数を約1割削減。JR北海道は「事業継続のため固定費削減は避けられない」と計18の無人駅廃止などに踏み切った◆終電繰り上げには、もう一つ理由がある。保守・工事の時間確保。JR東日本の場合、この10年で作業員数が2割減少。人手不足が深刻になる半面、ホームドア設置などで工事量は過去10年で1割増えたという。始発まで少しでも時間を確保したい考えだ◆乗客減はコロナ禍だけのせいではない。人口減少が進めば必然である。一方、社会全体で残業カットやテレワーク普及などの働き方改革も着実に進む。故に今回の終電繰り上げは一過性のものとは異なる。新しい生活様式が定着する一歩といえよう。時刻表から時代の大きな変化が読み取れる。(東)