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社会人の心構え学んで
社労士が「出前授業」
大阪府
出前授業を視察し、社労士から話を聞く熊野氏(右から2人目)と藤村府議(右隣)
保険や年金などテーマに14年間継続
大阪府では、府社会保険労務士会が2004年から14年間、社会貢献活動の一環として、高校生らを対象にした「出前授業」を継続実施している。この間、公明党大阪府本部(代表=佐藤茂樹衆院議員)は政策要望懇談会を通じて、社会保険労務士(社労士)の業務範囲の拡大をはじめ、年金や就労環境を学ぶ授業に社労士を活用することなどの要望に耳を傾けてきた。熊野正士参院議員と藤村昌隆府議はこのほど、大阪市平野区の府立東住吉総合高校での出前授業を視察し、関係者と意見を交わした。
高校生ら約3万人が受講
出前授業の狙いは、会社で働く前段階に社会人としての心構えを子どもたちに身に付けてもらうこと。社会保険や労務管理の実務に携わる専門家・社労士が学校に赴き、複雑な社会保障制度の仕組みや労働に関する法律について学ぶ機会を提供している。テーマは給与明細や労働契約書の見方、年金の仕組みなど、学校ごとに設定。これまでに約3万人の生徒・学生が授業を受けた。
この日は、社労士の豊岡正照さんが同校の3年生約150人を対象に、「こんなことがあった時、どうしよう」と題した授業を担当。将来、就職後に労災や出産、育児、介護で会社を休んだり、会社が倒産して失業した場合に適用となる保険や補償などを解説した。
特に生徒の反応が大きかったのが、アルバイト中にケガをしたケース。この場合、労災保険の対象となり、賃金から治療費を差し引かれることはないとの答えに、「詳しく知らなかった」などの声が聞かれた。豊岡さんは「働いていく上で何か困ったときには気軽に社労士に相談してほしい」と生徒に呼び掛けた。
終了後、大阪府社会保険労務士会の中野清志常任理事は「今後も学校現場で出前授業を続けていきたい」と語っていた。
熊野氏は「子どもたちが働く前に学ぶ社会保障教育の機会を充実させることが重要だ」と強調し、「専門性の高い社労士による出前授業を後押ししていきたい」と話した。