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ズバリ聞きます! 「復興庁」の10年延長
答える人=党東日本大震災復興加速化本部長 井上義久副代表
東日本大震災から11日で10年。その間、復興政策の司令塔を担ってきたのが「復興庁」です。当初は今月末までが設置期限でしたが、公明党の主張で10年延長され、今後も体制が維持されます。復興庁が果たしてきた役割や“次の10年”で取り組むべき課題について、党東日本大震災復興加速化本部長の井上義久副代表に聞きました。
Q.どんな役割担ってきた?
A.被災自治体と国が直接、連携しながら施策を推進
アスカ 復興庁創設の経緯と、これまでの役割を教えてください。
井上 復興庁は東日本大震災の発災直後、当時野党だった公明党の緊急提言を契機に、翌2012年2月に発足しました。首相直轄の組織として専任の復興相を配置し、国の復興施策の企画・立案を調整するとともに、被災地の要望・課題にワンストップ(1カ所)で対応してきました。
岩手、宮城、福島の3県には、出先機関の復興局が置かれています。復興を一元的に担う組織を現場に配置し、日常的に連携することで、被災自治体の大きな支えとなってきました。
アスカ 公明党はなぜ、早くから復興庁が必要だと考えたのですか。
井上 私は発災の翌々日の3月13日未明に被災地入りし、甚大な被害が広域にわたる惨状を目の当たりにしました。復旧の主体となる自治体だけで対応することは不可能であり、「国が前面に立って復旧・復興に当たらなければならない」と痛感しました。
同22日には公明党として政府に緊急提言を行い、復興に向けた予算や政策の司令塔となる復興庁と、復興担当相の設置を求めました。当時の民主党政権も必要性を理解していたはずですが、復興庁の発足まで1年近くかかったことは今も悔やまれます。
アスカ 12年末の政権交代以降、復興が加速したと評価する声が大きいです。
井上 発災直後から公明党は一貫して、地方議員と国会議員が連携して被災地のニーズをリアルタイムで集約し、一つ一つの声を実現してきました。政権復帰後は常に公明党から復興副大臣を出し、ネットワークの力を持つ公明党と政府との連携の要となることで、復興政策の実効性が高まったと自負しています。
Q.今後、取り組む課題は?
A.心のケアと福島の再生。風化と闘う象徴の組織に
アスカ 復興庁が延長されることの意義は。
井上 復興は引き続き国が責任をもって進めていくという明確な意志を、象徴するものです。
発災から10年、人々の関心が次第に薄れるなど、風化が進んでいることも事実です。私は常々、風化との闘いには、復興への強い意志を持続するための「法律と組織」が不可欠だと訴えてきました。
昨年6月の通常国会では、自民、公明の与党両党の復興加速化本部が政府に提出した第8次提言を反映し、改正復興庁設置法をはじめ、復興特区法や福島復興再生特別措置法などの改正法が成立しました。
法律と、それを具体化する復興庁という組織が整備されたことで、風化と闘い、次の10年も強力に復興を進めていくための体制が整ったのです。
アスカ 復興庁に新しい機能も追加されますね。
井上 はい。新たな機能として、復旧・復興の過程で得られた知見やノウハウを自治体や関係機関と共有することが追加されました。東日本大震災がもたらした教訓を後世に伝え、これからの防災・減災の仕組み作りに活用していきます。
アスカ 次の10年間で、取り組むべき課題は。
井上 被災地ではインフラの整備や住宅の再建は着実に進みました。しかし、一瞬のうちに家族や家を失った被災者の心の傷が完全に癒えることはなく、心のケアが急がれます。また、原発事故で甚大な被害を受けた福島は、復興の緒に就いたばかりです。
被災者一人一人が希望を取り戻し、再び前を向いて歩けるようになってはじめて、復興は遂げられる。公明党が掲げ続ける「人間の復興」のその日まで、被災者に寄り添い抜く決意です。