ニュース
参院予算委員会での公明党の質疑(要旨)
西田実仁参院会長
医療提供体制
国挙げて最適配分進めよ
西田実仁氏 日本の医療体制は、国際的にみても決して見劣りしないのに医療逼迫と言われる。厚生労働省や自治体、医師会や官公労などで「医療体制改革国民会議」のような場をつくり、国を挙げて医療資源の最適配分を検討すべきだ。
菅義偉首相 国と地方、医療関係者が緊密に連携し、地域の医療資源を総動員して、医療提供体制の確保に努める。
西田 クラスター(感染者集団)が発生した医療機関や福祉施設などでは、収束の基準がない。一定の基準を定める必要がある。
田村憲久厚労相 何らかの基準を考えなければならない。検討する。
西田 発達障がいや感覚過敏などの人がマスクを着けられないことを周囲に知らせるバッジや意思表示カードを自治体などが配布している。国としても統一的な規格でこうしたものの普及を後押ししてほしい。
厚労相 表示やマークの普及を進めている団体とも話し合い、検討する。
ワクチン
円滑な接種へ支援手厚く
西田 自治体はファイザー社のワクチンのみを接種する計画を立てている。アストラゼネカ社やモデルナ社製などで接種ができるようになった場合、市町村の計画をどう見直すのか。
河野太郎ワクチン接種担当相 アストラゼネカ社が2月5日に承認申請し、モデルナ社が国内で治験(臨床試験)を行っている。もう少し時期が明らかになった時に検討したい。
西田 ワクチンの有効率について、ファイザー社は95%、アストラゼネカ社は70%としている。数字が独り歩きすると、ファイザー社の方が効果が高いと思う人も少なくない。
厚労相 そもそも治験環境や対象者が違うため一概に比較できない。PMDA(医薬品医療機器総合機構)で審査した上での承認は有効だ。その点を国民に周知する。
西田 ワクチン接種を予約しても忘れたりすることを踏まえ、イスラエルでは予約した人へ前日、当日にメッセージを送っている。こうした体制づくりに必要な財政支援は惜しむことなく投入すべきだ。
ワクチン接種担当相 前日にリマインド(再通知)するシステムを提供している企業と多くの自治体が契約している。そうした費用の一切は国が負担する。自治体は必要なサービスを受けていただきたい。
西田 集団接種も個別接種も接種場所へ出向くことが前提だ。移動が困難な人、高齢者や障がい者については、ヘルパーと連携して接種施設に案内したり、施設での接種なども重要だ。
ワクチン接種担当相 さまざまな施設を活用して、そうした人が円滑に接種できるような体制を組むことは支援の範囲内だ。
困窮者対策
URの賃貸住宅、空き住戸活用を
西田 コロナ対応に関連した政府機関のシステム障害が起きている。デジタル庁の創設でどう変わるのか。
首相 今回の感染症では、行政サービスなどのデジタル化の遅れが浮き彫りになった。9月に創設するデジタル庁は、組織の縦割りを排し、強力な権能と、初年度は3000億円の予算を持った強力な組織として、国全体のデジタル化を主導していく。
西田 新型コロナウイルス感染症の影響で住まいに困る人が増えている。公営住宅の活用は既に進んでいるが、UR(都市再生機構)賃貸住宅の空き家を活用した新たな支援策をぜひ検討してほしい。既にURにお住まいの方々がコロナ禍でも安心して住み続けられる支援策も必要だ。
赤羽一嘉国土交通相(公明党) 提案されたUR賃貸住宅の活用については、新たな取り組みとして、URが居住支援を行うNPO法人や福祉法人に一定期間、低廉な家賃で空き住戸を貸与し、法人は空き住戸を住宅困窮者に安い家賃で貸し出す。就労などを見据えた居住者の自立支援を実施するスキーム(枠組み)を4月から実施できるよう調整中だ。
西田 2月19日から総合支援資金の再貸し付けが始まったが、いまだ償還(返済)免除の要件が決まっていない。債務免除の要件は、返済よりも生活再建を最優先に考え、償還開始時に返せない人は一括免除する仕組みなどを大胆に実行すべきだ。
厚労相 総合支援資金は、全て借りると金額が非常に大きい。どのような形がいいか、なるべく早く示していきたい。
西田 休業手当を受け取れない場合に労働者本人から申請できる休業支援金・給付金は、約5000億円の予算に対し、支給決定額は700億円程度にとどまっている。困っている人に支援を届けるためにプッシュ型で情報を提供すべきだ。
厚労相 よく目にするSNS(会員制交流サイト)などを通じてこれからも情報発信に努める。
西田 特に非正規の労働者への影響が深刻になっている。状況を適切に分析し、政府一体となって政策対応していくことが重要だ。
国際貢献
COVAXへの資金関与さらに
西田 日本は経済規模からみてCOVAXファシリティー(ワクチンの共同調達・供給の国際枠組み)への資金的コミットメント(関与)を増やす必要がある。
茂木敏充外相 引き続き、COVAXファシリティーを含む国際的な枠組みに対して、できる限りの貢献をしていく。
防災・減災
西田 防災・減災について聞く。発災現場の映像をドローンから携帯電話を利用し、自治体に共有する実証実験が行われた。こうした自治体の先駆的な取り組みには100%の財政支援をお願いしたい。
首相 頻発化、激甚化する災害に効果的、効率的に対応するため、自治体におけるICT(情報通信技術)など先進技術の活用は大事。来年度には自治体のニーズと先進技術をマッチングするプラットフォーム(基盤)を設置し、先進的な取り組みの横展開を推進したい。