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2021年3月4日

政治を変えた都議会公明党(中)

調査なくして発言なし 
し尿不法投棄問題 
運搬船に動かぬ証拠

し尿運搬船の船底を調査する公明議員ら=1963年7月 東京・足立区

「春のうららの 隅田川……」(滝廉太郎作曲「花」)。のどかな春の光景が広がる隅田川。今では時折、釣り糸を垂れる人も見掛けるが、都議会公明会(現・都議会公明党)が結成された1963年当時は、周辺の工場から出る排水で魚も住めない「死の川」と化していた。

同年6月28日の都議会本会議。公明議員が取り上げたのが、今でも語り草となっている、隅田川の、し尿不法投棄問題だ。

隅田川の水質汚濁をいいことに、都江北清掃作業所で都の清掃車が集めてきた、し尿の一部が、消毒もされないまま、隅田川に垂れ流されていたのだ。当時の規則では、し尿は運搬船に移し、伊豆大島沖まで運んで黒潮に乗せて流すことになっていた。が、一部の悪徳業者は、船底の放流口を開け、し尿を隅田川に投棄することで、運搬料金の水増し請求を行っていた。

「都民は肥だめの中に住んでいると言っても過言でない。私はその実態を、その現場をこの目で見てきている」

周辺住民が悪臭に悩まされていることを知った公明議員は、現地調査を重ねた。不法投棄の証拠写真までそろえ、本会議で都側を鋭く追及するも、都側は事実を認めないどころか、裏で業者と事実の隠蔽を図ろうとしていた。このため公明党の主張で、7月2日に委員会による現地調査が実施された。

“光るくぎ”発見

あまりの臭気に耐えきれず、各党の議員が岸壁の上に立ったまま動こうとしない中、公明議員は運搬船に乗り込んでいく。さらに、はしごを使ってメタンガスが充満する船底にまで進入。そこで放流口を閉鎖した“真っ白に光るくぎ”を発見した。都側が追及を恐れ、最近になって放流口を閉ざしたという動かぬ証拠をつかんだ。

公明党の追及以降、不法投棄はなくなっていく。河川消毒も行われ、水質は大幅に改善されていった。

ディーゼル車規制

科学的根拠もとに改善

今年は環境庁の発足から50年の節目であり、環境省へ格上げされてから20年を数える。この間、都議会公明党は都の環境対策を一貫してリードし、国政にも大きな影響を及ぼしてきた。

80年代の後半。「アトピー性皮膚炎がひどい」「ぜんそくに悩んでいる」――。子どものアレルギー性疾患を訴える母親の声を、公明議員はよく耳にするようになった。原因の一つは排ガスなどによる大気汚染で、酸性雨も引き起こしていた。しかし当時は、それを裏付ける科学的根拠は乏しく、一部の専門家が警鐘を鳴らすに過ぎなかった。

都内全域で酸性雨

こうした中、実態調査にいち早く動き出したのが都議会公明党だ。89年11月と90年5月、群馬県の赤城山を訪れた。東京方面からの南風を受ける斜面一帯では、酸性雨によってシラカバなどが立ち枯れていた。91年12月から92年3月にかけては、党都本部所属の区市町村議員らと酸性雨の実態調査を進めた。酸性雨が都内全域で恒常的に降っており、多摩地域の一部では“レモンジュース並み”の酸性度だったことも浮かび上がった。

具体的な裏付けを基に都議会公明党は都に対し、トラックなどディーゼル車の排ガスに含まれる粒子状物質(PM)の規制対策を強く求めていった。都庁に勤め、後に副知事となった青山佾明治大学名誉教授は、PMの存在を初めて知ったのは、91年ごろに公明議員から教えてもらった時だったという。当時を振り返り、「(公明議員は)勉強熱心だ」と本紙に語っている。

その後、この問題は大きな社会問題となり、都議会公明党の先見性が高く評価された。2003年には、都を中心に首都圏8都県市によるディーゼル車の排ガス規制として結実。国政においても同時期、自動車窒素酸化物(NOx)法の改正や環境省の設置が実現した。

コロナ対策でも発揮

「調査なくして発言なし」との都議会公明党の伝統は、コロナ禍でもいかんなく発揮されている。議会質問に加え、現場の実情を踏まえた知事らへの緊急要望は40回332項目に上り、多くが形となって都民の命と暮らしを守ってきた。

一例を挙げると、感染対策では、軽症や中等症の患者を受け入れる「コロナ専用病院」を実現。重症化の兆候を患者自身が容易につかめる「パルスオキシメーター」は、軽症・無症状者が療養するホテルへ配備されるとともに、自宅療養者にも貸し出されている。

現在審議中の21年度予算案と同補正予算案にも、①21年1月から23年3月末までに子どもが生まれた世帯に1人当たり10万円分の子育て支援サービスや育児用品を提供②最大30%のプレミアム(割り増し)付き商品券を区市町村が発行する際、プレミアム額の4分の3を補助――などが公明党の主張で盛り込まれた。

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