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2018年11月7日

消費税10%まで1年 識者に聞く

軽減税率 もう一つの価値 
インボイスで企業のIT化促す 
法政大学大学院客員教授 松島桂樹氏

松島桂樹氏

――2019年10月の消費税率10%への引き上げと軽減税率の実施により、中小企業などでは複数税率への対応が必要になる。

松島桂樹・法政大学大学院客員教授 複数税率になって数年のうちに、企業間の取引は「インボイス(適格請求書)」を毎回、渡して商品ごとに税率を管理する時代になる。日本の中小企業の経理業務は、まだ手作業が多い。インボイス制の導入と同時に受発注業務の電子化を進めることによって、中小企業のIT導入や経営効率化が進むことが期待される。中小企業の生産性が広く底上げされ、軽減税率がそのきっかけとなるならば、税収増以上の価値を生み出す可能性がある。

――インボイス導入に伴う事務負担については。

松島 インボイスは、もともと発送者が荷物に添付する送付状を意味し、商品名や価格などの基本情報が記載されているものだ。欧州では、税率が異なる商品について税率ごとに税額を記載することで、課税事業者の税額を把握するためにインボイスを活用することを制度化した。

インボイス活用による事務負担を最小化する手段は、IT導入をおいて他にない。今、中小企業、小規模企業を含めた広範なIT導入を進めることは、将来にわたって効果的な政策の実施を推進する基盤となり得る。

ただし、行政や取引先企業、とりわけ大企業の協力がなければ、中小企業の負担が増えるだけ、という結果になりかねない。

――今後の課題は。

松島 インボイス導入に伴う経営効率化を進めるために、ネット上で行われる企業間の受発注が自動的に記載される仕組みが不可欠だ。そのシステムを開発・更新する負担は大きい。

e―Tax(国税電子申告・納税システム)のように基本的な支援ツールを公的サービスとして提供し、また販売されている中小企業用の会計ツールなども、インボイスに対応することが必要だ。これが機能するためには、取引相手の大企業ともシステムの相互標準化が求められる。

インボイスに関わる送付状の作成だけをシステム化するのではなく、受発注から決済までの関連するさまざまな業務のシステム化もしなければ経営の効率化は限定的となる。したがって、丁寧に財政政策や公的支援をする必要がある。

さまざまな中小企業がある。必ずしもIT化できていない事業者も対象としたインボイス導入も並行して進める必要があるだろう。このほかにも課題は少なくないが、インボイス導入を一過性でなく、慎重かつ堅実に進めることで、日本の生産性革命に大きく貢献してほしい。

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