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【主張】男性の育休 取得促進へ新制度も活用を
子どもを産み育てやすい環境づくりが前進する。
政府は、育児・介護休業法・雇用保険法改正案を今国会に提出する。公明党の主張を反映し、男性の育児休業の取得を促進することが最大の柱である。
改正案では、夫婦それぞれ1回しか取得できない育休を2回に分けて取れるようにする。夫婦で4回まで育休を利用でき、使い勝手が良くなる。
これに加えて注目したいのは、「男性版産休」とも言うべき育休の創設だ。これは、妻の出産から8週間以内に夫が4週間まで育休を取得できるというもの。これも2回に分割して取得できるほか、休業を申し出る期限も従来の育休の「1カ月前」より短い「2週間前」となる。
出産直後の女性は、ホルモンバランスの崩れや睡眠不足などによる「産後うつ」のリスクが高い。心身共に不安定になりがちな妻を夫がしっかりと支えられるよう、新たな枠組みを設ける意義は大きい。
このほか改正案では、育休対象者に制度の周知や取得を個別に働き掛けることを企業に義務付け、常時雇用する労働者が1000人を超える事業主には育休取得率を公表させるとしている。
大切なのは、こうした取り組みを通して男性の育休取得率を上昇させることだ。
国連児童基金(ユニセフ)が2019年に発表した子育て支援策に関する報告書では、調査対象となった41カ国中、育休の取得可能な期間と給与保障の面で日本は1位だった。しかし、19年度の男性の育休取得率は7.48%にすぎず、先進国では最低水準だ。
1991年に育児休業法が成立してから30年、遅々とした歩みをこれ以上続けるわけにはいかない。
政府は男性の育休取得率を2025年までには30%に引き上げたい考えだが、強い覚悟で取り組むべきだ。企業側の協力も一層重要になる。
近年は、男性従業員が育休を取得しやすい職場環境づくりに努める企業が増えている。自治体でも、岐阜県庁では男性職員の育休取得率が51.6%に達している。
政府は、こうした先進事例を周知し、官民挙げた取り組みを先導してもらいたい。