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2021年2月22日

【主張】科学分野の女性進出 研究者増加へ取り組み強化を

新型コロナウイルスの感染収束のカギを握るワクチン。その開発を主導してきたのは女性研究者である。

日本でも医療従事者への先行接種が始まった、米製薬大手ファイザーのワクチンの開発責任者は、女性のキャスリン・ジャンセン博士だ。このほか、日本にワクチンを供給する英アストラゼネカと米モデルナのワクチン開発を率いたチーム・リーダーも、女性研究者が名を連ねている。

しかし、日本は、他の先進国と比べ、科学分野における女性の進出の遅れが目立つ。この状況の改善に本腰を入れて取り組むべきだ。

今月11日は「科学における女性と女児の国際デー」だった。科学技術、工学、数学といった分野で活躍する女性研究者の増加を促すため、国連が2015年12月に設定した記念日である。これを受け、科学分野での男女共同参画を巡る日本の現状を見直す必要がある。

総務省が昨年12月に公表した科学技術研究調査結果によると、19年度の女性研究者の割合は、全体のわずか16.9%にとどまる。英国が39%、米国が34%であるのと比べると、非常に低い。

科学分野の研究や開発において、女性研究者の視点が不可欠となる局面は多い。

例えば、米バージニア大学が19年7月にまとめた調査によると、自動車事故で重傷を負ったり、死亡したりする確率は男性よりも女性の方が73%高いという。衝突事故での自動車の安全性確認テストで、男性型の人形が使われることが多かったのが原因だ。結果として、女性の首の細さや、男性より背が低い女性は下肢にけがを負うリスクが高いことへの配慮に欠ける傾向があったと指摘されている。

女性研究者の増加を妨げている理由について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は「科学分野において、女性研究者は男性と比べ、就労期間が短く、低賃金である」ことに懸念を示している。この点は、日本で特に顕著だ。

大学などの研究機関や企業による、女性研究者の積極的な採用に加え、出産や育児を経ても働き続けられる職場環境の整備の促進などを含めた取り組みの一層の強化が求められている。

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