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水害の避難場所
高台道路の活用拡大
25年度末まで655カ所増設
国土交通省は2021年度から、高速道路など高台にある道路上の避難場所を全国で新たに655カ所整備する方針だ。付近の住民が津波や水害から逃げ込めるようにするのが狙い。公明党の訴えにより21年度から始まる防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速化対策の一環で、25年度末までに完成をめざす。
新たな整備対象は高速道59カ所と国直轄道路596カ所。いずれも津波や洪水などで想定される浸水の高さより高い所に位置する。
高台の道路を避難場所として使うには、盛り土や高架部分に住民が上るための階段やスロープを設置する必要がある。高速道については国の「防災・安全交付金」で自治体を財政支援しながら整備を進めていく。
こうした避難方法が注目された背景には、11年の東日本大震災の教訓がある。当時、岩手県の釜石市や宮古市では、地元住民らが国道45号に駆け上がり、津波から逃れた。釜石市は16年6月、同国道の脇にあるスペースを指定緊急避難場所に定めている。
道路の活用は公明党の国重徹衆院議員も積極的に進めてきた。海抜ゼロメートル地帯が広がる大阪市此花区で、地元市議と連携し、国道43号線の高架部分を避難場所として使えるよう国交省と交渉し、実現した。
さらに、20年1月の衆院予算委で「国管理の既存インフラの活用を全国的に進めてほしい」と提案。赤羽一嘉国交相(公明党)が「避難場所としての道路の活用を働き掛けていく。その際に財政面など必要な支援を行う」と応じていた。