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コラム「北斗七星」
上司が部下に言う。「□□の件、ダメじゃないか。××は、もっと△△にしてくれないと」。否定のみの指摘だと部下はへこむ。「□□の件。○○の点は良かった。ありがとう。しかし、××は、もっと△△にしてくれないか」。部下は半分やる気が出て、半分へこむ。プラスマイナスゼロだ◆どう言えばいいのか。「○○の点は良かった。すばらしい。さらに、××を△△にしたら、もっといいんじゃないかな」。否定的に指摘するのではなく、前向きに助言している。これが「ポジティブ(前向き)な会話の極意」。『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(前野隆司著、講談社現代新書)で学んだ◆職場・家庭・地域で前向きな会話をしたい。鍵は、相手を大切に思うこと、相手の立場で考えることだ。それが言い方に表れる◆「春の風のような穏やかな態度で人に接し、秋の霜のような厳しい態度で自らを律していく(書き下し文=春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む)」。「佐藤一斎一日一言 『言志四録』を読む」(渡邉五郎三郎監修、致知出版社)にある。朝は冷え込むこの時期。「春の風」との例えが響く。氷のような態度を取ったこともあったと自身を省みた◆幕末の儒学者のこの一節は「春風秋霜」と略される。政治家などが銘ずべき言葉でもある。(直)