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【主張】ワクチン接種体制 自治体への支援に総力挙げよ
コロナ収束の切り札となるワクチンの接種が来週17日にも医療従事者から始まる。希望する全ての人を対象とする大事業だが、必ず成功させなければならない。
8日の衆院予算委員会で公明党の桝屋敬悟氏は、円滑な接種に向けた体制の構築へ、自治体に対する情報提供や財政支援に万全を期すよう訴えた。4日の同委員会でも竹内譲政務調査会長が自治体との緊密な連携を要請した。
これに対し、政府側が「必要な費用は国が全て負担する」(菅義偉首相)などとして、自治体を全力で支える姿勢を示したことは重要だ。
医療従事者に対する接種は国や都道府県が取り組み、その他の人への接種は市区町村が実施主体となる。自治体によって人口規模や財政力などが異なるため準備の進め方もさまざまだ。
例えば接種方法について、公民館などを使った集団接種や、かかりつけ医での個別接種、または両者を組み合わせたものなど多様なケースが考えられる。自治体がそれぞれの実情に応じた接種体制を構築できるよう、政府はしっかりと支援すべきである。
多くの自治体に共通する課題に対しても、政府による迅速な対応が欠かせない。
市区町村では4月以降から高齢者への優先接種が行われる見通しだ。しかし、ワクチンが届く時期や量は不明な部分が多く、自治体からは医療従事者の確保に動きづらいとの声が出ている。
医師や看護師は本来の業務を行いながら接種に協力するのだから、政府は供給スケジュールの確定に全力を挙げてほしい。
ほかにも、品質管理に配慮したワクチンの安全な搬送方法や、住民の接種情報を管理するための新システム導入などに関し、自治体は詳細な情報や財源の手当てを政府に求めている。こうした現場の声に丁寧に応えていく努力が必要だ。
公明党は党内に「新型コロナウイルスワクチン接種対策本部」を設け関係省庁との意見交換などを行い、各都道府県本部にも対策本部を設置し、自治体との連携に努めている。国と地方のネットワークを生かし、行政の取り組みを後押ししていく決意だ。