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病気で会社を休んだ場合の傷病手当金
支給「通算1年半」に
がん患者ら 治療・仕事の両立を支援
入退院繰り返す事例受け、公明推進で健康保険法改正へ
会社員らが業務外の事由による病気やけがで仕事を休んだ場合に健康保険から支払われる傷病手当金について、政府は、がん治療で入退院を繰り返すケースなどに対応する制度改正に乗り出す。現在は同一の病気・けがに対して「支給開始日から1年6カ月まで」の支給だが、これを「仕事を休んで実際に支給を受けた期間を通算して1年6カ月まで」とする。公明党が粘り強く主張し、5日に閣議決定された健康保険法等改正案に盛り込まれた。
改正案では、健康保険における支給期間の通算化を2022年1月から施行すると規定。なお、公務員らが加入する共済組合は、既に通算化されている。
傷病手当金は、休業した日単位で支給される。健康保険における1日の支給額は通常、月収(直近12カ月の標準報酬月額の平均)を30で割った額の3分の2相当。厚生労働省によると、中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)では、19年度の支給件数のうち、精神・行動の障がい(31.3%)と、がん(18.6%)が全体の約半数を占めている。
一方、現行制度では、支給開始後に職場復帰して同手当金が不支給となり、その後、同一の病気・けがで再び休んだ場合、当初の支給開始日から1年6カ月までは同手当金を受け取れるが、その先は不支給となる。このため、長期間にわたり療養のために休暇を取りながら働くがん患者らが同手当金を柔軟に利用できないとの指摘があった。
公明党は、医療技術の進展を踏まえ、がん患者らが働きながら治療を受けられる環境を整備するため、支給期間の通算化を主張。厚労相に対して15年8月に提言を申し入れたほか、国会質問でも繰り返し首相らに支給要件の改善を訴えてきた。
これを受け、政府は17年に策定した働き方改革実行計画や第3期がん対策推進基本計画に「治療と仕事の両立などの観点から支給要件などについて検討し、必要な措置を講じる」と明記し、議論を進めていた。