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賃金の8割支給する休業支援金
大企業の非正規に拡大
シフト制、登録型派遣など
公明が主張 周知徹底も要請
厚生労働省は5日、勤務先に休むように指示されたのに休業手当を受け取れない中小企業の労働者に支給する新型コロナウイルス感染症対応の休業支援金について、大企業で働く非正規雇用の労働者にも対象を拡大すると発表した。休業前賃金の8割(日額上限1万1000円)を補償する。4日の衆院予算委員会で公明党の稲津久氏が対象拡大を訴え、菅義偉首相が「早急に具体的な対応策をまとめる」と答弁していた。
新たに対象となるのは、大企業に雇用され、交代で働くシフト制や、登録型派遣、日雇いの労働者など労働契約上、労働日が明確でない人。申請は、労働者が直接申請を行う必要がある。緊急事態宣言の再発令に伴い、1月8日以降の休業に支援金が支給される。受け付けは2月中旬以降の予定。申請方法などは今後公表する。
休業支援金は、資金繰りや事務能力の問題で、休業手当を補助する雇用調整助成金(雇調金)の申請が進まない中小企業を対象に創設された。
一方、大企業の非正規労働者の中には、働く日が柔軟に組まれるシフト制などのために、コロナ禍でシフトが減っても「会社の都合による休業」として扱われず、休業手当が支払われないなどのケースがある。このため、衆院予算委員会で稲津氏が「シフト減少で生活に支障を来している深刻な事態もある。休業支援金の対象を大企業にも拡大するべきだ」と求めていた。
その上で、稲津氏は支援金について、労働者と事業主双方の理解促進のため、会員制交流サイト(SNS)などのあらゆる媒体を用いた周知徹底も要請。なお、公明党は1月21日と2月1日にも、政府への緊急提言で、周知徹底や、きめ細かい相談支援体制の構築を提案している。
厚労省は5日、1月8日以降の雇調金の支給条件の緩和も発表した。全額補助を受けるには、昨年1月24日以降に従業員を解雇していないことが求められているが、全ての中小企業と一部の大企業で今年1月8日以降に変更するとした。
さらに、出向者の雇用元と受け入れ先の双方を支える産業雇用安定助成金を同時に運用開始。1月1日以降の出向について賃金などの経費を最大9割(日額上限1万2000円)支給する。