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夜間にLINE相談窓口
悩みを抱え込んだ人に寄り添う
自殺防止へ毎日実施
愛知県
警察庁の統計によると、全国の自殺者数は一昨年まで10年連続で減少していたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がった昨年、増加に転じた。愛知県は、自殺防止策の一環としてLINEのチャット機能を活用した夜間の相談窓口「あいちこころのサポート相談」を昨年11月から開設している。この事業は、昨年9月定例会での公明党の質問に対し、大村秀章知事が実施を表明していたもの。
東京メンタルヘルス株式会社(中央モニター2人)から説明を受ける党県議団のメンバー(右側6人)
党愛知県議団(市川英男団長)はこのほど、県精神保健福祉センターを訪れ、県の委託を受けてLINEでの相談を実施している東京メンタルヘルス株式会社の相談員ら関係者からオンラインで説明を受けた。
相談時間は月曜日から土曜日の午後8時から午前0時と、日曜日の午後8時から翌朝の午前8時まで。県内在住、在勤、在学者が対象。利用者は性別や年齢などの事前アンケートに答え、相談を始める。昨年末までの登録者数は1232人、相談件数は741件。
相談はチャット機能を使い、1回約50分。同社によると、相談内容は家族関係、健康、勤務関連が多い。「解雇された」との声のほか、「感染症への恐怖から気持ちが不安定」「外出自粛などの行動制限を受け、リフレッシュできない」などの訴えもあった。相談員は「相談件数が最も多いのは働き盛り世代だ」と話していた。
コロナ禍で不安を感じている人のための相談は、県精神保健福祉センターが昨年2月から実施しているが、平日の朝から夕方までに限られ、電話のみ。LINE相談窓口は、自殺者が多い夜間に対応し、スマホから気軽に始められる点で、大きな意味がある。
県はLINEでの相談を周知するために、ポスターとカードを作成。県内の私立高校、大学、市役所、町村役場などへ配布を促した。
党県議団の犬飼明佳議員は昨年9月定例会で、コロナ禍での心のケアについて質問。自殺増加への懸念を述べ「貴い命を一人でも失わないためには、悩みを独りで抱え込まないよう、こころの相談窓口の周知や、気軽に相談できる体制の構築が急務」と主張していた。
市川団長は「今後も経済困窮など自殺の要因が増えると予想される。相談体制のさらなる充実を推進していきたい」と話していた。