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献血の安定確保 コロナで懸念
「バス派遣」中止相次ぐ
緊急事態下 協力企業分も不透明に
混雑緩和へ事前予約を推奨
常設施設 感染症対策は万全
昨年から続く新型コロナウイルスの感染拡大で、献血協力者の安定的な確保が難しくなっている。日本赤十字社(日赤)は「献血は不要不急の外出には当たらない」と訴えているが、首都圏の都市部などで再発令された緊急事態宣言も影響し、企業などが実施する集団献血は相次ぎ中止となっている。緊急事態下の献血の現場を探った。
必要な血液ギリギリ
献血ができる主な場所は、各地に常設されている献血ルームと献血バスだ。そこで得られた血液は、全国を7ブロックに分けた血液センターへ運ばれ、各種検査を経て血液製剤となって患者のもとへ届けられる。
輸血を待つ患者が安心して治療を受けるのに必要な献血協力者は、全国で1日平均約1万3000人。東京、埼玉、神奈川、長野など1都9県からなる日赤関東甲信越ブロック血液センターの場合、同5000人となる。同センター総務企画課の光吉智彦主査は、「新型コロナの影響で、都内では安定した協力が見込めるバスによる集団献血が減り、今は献血ルームの踏ん張りで何とか必要な血液量を確保している」と説明する。
昨年4月の最初の緊急事態宣言以来、企業や大学、大型イベントなどへの献血バス派遣が相次ぎキャンセルに。同センターのまとめによると、東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県では昨年4~12月、約2400件の出張型献血が中止となった。この影響で安定的な献血協力者の確保が難しくなり、在庫の減少傾向が続いた時期には、他ブロックから支援を受ける場面もあった。

今回の緊急事態宣言も、集団献血の実施に影を落としている。4都県を中心に1~3月に実施予定だった企業などからは、既に約100件の中止・延期の連絡が入っているという。光吉主査は「現在、これを補うために協力してもらえる企業などを探しているが、中止分を全て補えるかどうかは不透明」と打ち明ける。このため、大型駅前やショッピングセンターなどで、平日も含めて人が集まる場所に献血バスを積極的に派遣する対応でしのいでいる。しかし「天候や人の往来に大きく左右されるため、今後も安定的な協力が得られにくい状況が続くのではないか」と窮状を訴えている。
通行人に献血への協力を呼び掛ける男性スタッフ=1月28日 東京・有楽町駅前
先月28日、東京・有楽町駅前の献血ルームを訪ねた。施設が入るビルに面した歩道では、スタッフが行き交う人々に献血への協力を呼び掛けている。
午前9時30分に開場。入り口には7、8人の来場者の姿があった。受付ではスタッフが透明のシート越しに来場者の体温を測る。施設内の各所には手指消毒用のアルコールがあり、待ち合いのベンチも間隔を空けて座るよう、ぬいぐるみを1席ごとに置いている。ロビーの机にはパーティションが設置され、換気も窓開けと空気清浄機で徹底している。来場者・スタッフともにマスクを着用。新型コロナ対策は万全だ。
同施設の瀧川健二さんは、「昨年の緊急事態時の対応を踏まえて、感染対策には細心の注意を払っている」と強調している。直近2、3カ月の来場者は平日で約200人、土日・祝日は約250人だといい、「昨年の同時期よりも多い。献血バスが減った分、私たちが頑張らないといけない」と話す。
現在、各地の献血ルームでは混雑緩和のため、インターネットや電話での予約を推奨している。
日赤 若者の啓発 不可欠
厚生労働省と日赤などは1月1日から今月末まで、「はたちの献血」キャンペーンを実施中だ。寒さが厳しいこの時期は、献血協力者が減る傾向にある。このため新成人の若者を中心に、献血に対する理解と協力を呼び掛けるのが狙いだ。毎年、キャンペーンでは若者に人気の芸能人やスポーツ選手らを広報キャラクターに起用し、アピールに努めている。
献血は69歳まで協力できるが、血液中の全ての成分を採取する「全血献血」の場合、200ミリリットルは男女とも16歳から、400ミリリットルでは男性17歳、女性18歳から可能だ。血小板など特定の成分だけを採取する「成分献血」は、男女とも18歳から行うことができる。
日赤のまとめでは、献血の協力率は若年層よりも40、50歳代の方が高い。担当者は「献血は将来にわたって必要な事業であり、若い世代の継続した協力が欠かせない」と話している。









