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コラム「北斗七星」
知り合いの契約社員の娘さんが先日、雇い止めに遭った際、雇用者側から「自己責任」と言われたそうだ。この言葉がこんな使い方をされるようになったのは、いつごろからだろう◆「自己責任」の言葉が一般化したのは1990年代初め。いわゆるバブル経済がはじけた際、証券会社による大手顧客への損失補てんが社会問題化した。お得意さまだからと株式投資のリスクを負わないのは不当ではないかという議論の中で出てきた言葉だった◆強者をたしなめる意味で使われた「自己責任」が、不況で生活困窮者が増える中、社会的弱者を足蹴にする言論やSNS発信で使用されることが目立つと感じる◆コロナ禍で雇用問題や自営業の経営不振が深刻化。自殺も増えているという。弱者にしわ寄せがいく状況を当たり前にしてはいけない。憲法25条がうたう「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は、全ての人間にとって固有で本源的なものだ。例えば、必要な人が生活保護を申請することに逡巡するような社会環境であってはならないだろう◆公明党は各議員が困窮の現場から生活者の声を聞き、さまざまな支援策を講じている。「自己責任」の使われ方に見られるような酷薄な社会の現実を打ち破るためにも、苦しむ一人一人にどこまでも寄り添う心を忘れまい。(唄)